12月21日に放送された漫才日本一決定戦『M-1グランプリ2025』は、過去最多1万1521組の中から初ファイナリストの「たくろう」が優勝し、幕を閉じました。しかし、大会終了後、SNS上では各コンビの評価、特に「めぞん」の採点を巡って様々な意見が飛び交い、大きな議論を呼んでいます。漫才界の未来を担う若手コンビの評価に対し、審査員の年齢構成が影響しているのではないかという声も上がる中、その背景を探ります。
初の決勝進出「めぞん」の飛躍とネタ構成
吉本興業所属の漫才コンビ「めぞん」は、2016年に吉野おいなり君さん(31)と原一刻さん(31)が結成。M-1には同年から挑戦しており、これまでの最高成績は2023年の予選3回戦進出でした。しかし、10回目の挑戦となる今大会で初の決勝進出を果たし、大きな飛躍を遂げました。決勝では、2023年準優勝の「ヤーレンズ」の次に登場。ネタは、「好きでもない女性から人前で“彼氏役”を演じてほしいと頼まれて面倒」だとぼやく原さんに対し、女性経験のない吉野さんが羨ましがりながら説教するという構成でした。ネタの後半では、原さんの意外な思いが明かされ、吉野さんがサンボマスターの楽曲「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」を歌い出すという急展開を見せ、会場を盛り上げました。
M-1グランプリ決勝でのめぞんの様子
審査員の評価と苦い結果
めぞんは最終的に820点を獲得しました。9名の審査員の中で最高得点の94点を付けたのは、2019年大会王者の「ミルクボーイ」駒場孝さん(39)でした。一方で、最低得点となった89点は、2019年大会準優勝の「かまいたち」山内健司さん(44)と、2004年大会王者の「アンタッチャブル」柴田英嗣さん(50)が付けました。
ネタ終了後の講評で、駒場さんは「めちゃめちゃエエっすね」と絶賛。しかし、山内さんはネタ前半の掛け合いを評価しつつも、「ここからというところで“歌”だったのが残念。歌の勢いで盛り上げた感があった。ツッコミやボケで笑わせてほしかった。ウケてはいたが、点数は低くした」とコメントしました。柴田さんも、ネタ前半の“フリ”を生かしきれていないと指摘しています。
全10組のコンビがネタを披露し終えた時点で、めぞんの順位は最下位という結果に。ファーストランドを1位通過した「エバース」とは50点差、9位の「ママタルト」とはわずか3点差でした。次世代を担う若手コンビとして大きなインパクトを残したものの、苦い結果に終わってしまった形です。
SNSでの賛否両論:世代交代を求める声も
めぞんが最下位という評価に対し、多くの視聴者が違和感を覚えたようで、X(旧Twitter)では様々な意見が寄せられています。
「めぞんのネタの審査見て思うのは、審査員もちょっと世代交代したらって…劇場沢山立ってる駒場さんの審査は信頼できる」という声や、「めぞんの点数低すぎ!早口なのに聞き取りやすく、どんな世代にもわかりやすいめちゃくちゃ面白いネタ、漫才だった。これに高得点つけれない審査員でやってるようじゃM1ももうダメだね」といった、審査員の評価基準や世代交代を求める意見が多数見られました。また、「めぞんめっっちゃ爆笑したんだけど、審査員受けは良くなかったみたい 駒場さんは好きぽかったし世代間の差なのかな?」や、「ごめんやけどカナメストーンよりめぞんの方が点数が低いのは流石に納得できんわ」といったコメントもありました。
一方で、「めぞんは『それを世界は愛と呼ぶんだぜー!』までは良かったけどその後ダラダラ歌い出したのが弱いって妥当な評価だと思う」や、「めぞんのネタは盛り上がりの最大瞬間風速は他の組に負けてなかったけど、冷静に考えると盛り上がったから面白かったと錯覚するだけで、実際は笑いの量や質はそこまで高くなかったから妥当な点数だと思う」と、審査員の評価が妥当であると納得する声も上がるなど、めぞんへの評価は真っ二つに割れています。
このような声の背景には、審査員の年齢構成に対する指摘が多くありました。今回の審査員は、前述の駒場さん、山内さん、柴田さんの他、「ナイツ」塙宣之さん(47)、「笑い飯」哲夫さん(50)、「フットボールアワー」後藤輝基さん(51)、「中川家」礼二さん(53)、「海原やすよ ともこ」海原ともこさん(53)、「博多華丸・大吉」博多大吉さん(54)が務めました。
お笑いライターは、「審査員の“高齢化”がネタの正当な評価に繋がっていないという意見は以前からあり、それこそ、“ネットミーム”のようなボケを連発する『真空ジェシカ』が多くのファンの同情を買ってきました。『めぞん』に関しても、聞いていて恥ずかしくなるような恋愛話がサンボマスターの曲に繋がっていく展開は、どちらかというと若い人の感性に刺さる部分が多いのかもしれません。とはいえ、結局は幅広い年代や層にリーチするネタが評価されますから、次の大会はさらにパワーアップした二人に期待したいところです」と指摘しています。
M-1グランプリは、時代と共に変化するお笑いの潮流を映し出す鏡でもあります。若手芸人の新たな挑戦と、それを受け止める審査員、そして視聴者の間で交わされる議論は、漫才という文化が進化し続ける証とも言えるでしょう。めぞんの今後の活躍に、引き続き注目が集まります。





