夏も大流行!「編み物ブーム」の裏側:韓国カルチャーと新素材「たわしヤーン」の魅力

連日猛暑が続く中、手芸店や100円ショップの店頭には、季節に反するように色とりどりの毛糸が並んでいます。「夏なのに編み物」という一見不思議な現象は、一体なぜこれほどまでに大きなブームとなっているのでしょうか?この編み物人気の背景と理由について、YouTubeチャンネル登録者数13万人超、著書『はじめてでも「かわいい」がつくれる! かぎ針編みの、あみこもの』も人気の編み物作家、もちだあかりさんがその秘密を紐解きます。特に、夏にぴったりの注目の新素材「たわしヤーン」の魅力や、韓国カルチャーが牽引する現代の編み物トレンドに焦点を当て、その楽しみ方をご紹介します。

かぎ針編み作家もちだあかり愛用の編み物道具かぎ針編み作家もちだあかり愛用の編み物道具

もちだあかり:編み物との再会とYouTube発信の軌跡

私が初めて編み物に触れたのは小学生の頃でした。母から譲り受けた編み針と毛糸を手に、夢中になって何かを編んだ記憶が鮮明に残っています。しかし、高校生になると学業や部活動、友人との交流など、他に楽しいことが増え、いつの間にか編み物から遠ざかっていました。再び編み針を手に取ったのは、結婚して子どもが小学生になり、自分の時間が少しずつ持てるようになったタイミングです。ふと「また編んでみようかな」という思いが湧き上がり、かぎ針編みを再開しました。

以前は専ら書籍に頼って編み方を学んでいましたが、ある日、何気なくYouTubeを開いた時に、編み方動画が驚くほど多く視聴されていることに気づきました。試しに私もいくつかの動画を視聴してみると、画面の中で手際よく編み進められる作品の美しさにたちまち心を奪われました。

固定観念を覆した「海外の手芸動画」の影響

特に強く惹かれたのは、海外の手芸動画でした。日本の「きれいに、丁寧に」という伝統的なスタイルとは全く異なり、大胆かつ自由に編み進めていく様子は、私にとって大きな衝撃でした。「編み物って、こんなにも自由でいいんだ!」と、長年の固定観念を打ち破られた感覚を今でも覚えています。この発見が、「私も自分の好きなものを、自由な感覚で編んで、多くの人に見てもらいたい」という強い思いにつながり、2023年にはYouTubeで編み物動画の投稿を始めるきっかけとなりました。

韓国カルチャーが牽引する「編み物ブーム」の波

YouTubeでの動画投稿を開始した当初は、私自身の経験から、「ある程度編み物に慣れている人」を主な視聴者層として想定した内容が中心でした。しかし、投稿を続けるうちに、少しずつ変化を感じるようになりました。SNS上では、「(アイドルグループLE SSERAFIMの)咲良ちゃんが着ていたビスチェが可愛すぎて、自分も編んでみたくなった!」「編み物初心者だけど、実際にやってみたらとても楽しかった」といったコメントが数多く見られるようになったのです。これにより、若い世代を中心に“編み物の波”が広がり、裾野が拡大していることを肌で実感しました。

この新たな編み物ブームの大きな火付け役となっているのは、まさに韓国カルチャーの影響です。K-POPアイドルが身につけるファッションアイテムや、韓国のインフルエンサーが発信するライフスタイルの中に編み物が自然に溶け込み、日本の若者たちにも「自分も作ってみたい」という創作意欲を掻き立てています。SNSを通じて、完成した作品を共有したり、編み方について情報交換したりするコミュニティも活発になり、以前にも増して編み物が身近な趣味として定着しつつあります。

夏にぴったり!注目の新素材「たわしヤーン」とは

今回の夏編み物ブームを語る上で欠かせないのが、私が現在特に愛用している新素材「たわしヤーン」です。このユニークな素材は、その名の通り、まるでタワシのような独特の手触りや質感を持つ毛糸で、韓国で生まれ、日本で進化を遂げました。一般的な毛糸とは異なるシャリ感や光沢があり、水に強く速乾性にも優れているため、夏らしい涼しげなアイテム作りに最適です。

たわしヤーンは、編み上がりがしっかりとして型崩れしにくい特徴があり、バッグや帽子、ポーチなど、夏のお出かけにぴったりの小物を編むのに大活躍します。また、毛糸自体に表情があるため、シンプルな編み方でも見栄えが良く、初心者の方でも気軽に素敵な作品を作りやすいという利点があります。韓国では元々、食器洗い用のエコたわしとして使われ始めた経緯がありますが、日本ではファッション素材としての可能性が広がり、様々な色や太さのものが登場しています。水辺のアクティビティや夏フェス、デイリーユースまで、多様なシーンで個性を光らせるアイテムとして、たわしヤーンを使った編み物が注目を集めています。

まとめ

「夏なのに編み物」というトレンドは、もちだあかりさんのようなクリエイターの自由な発想、海外動画がもたらした「縛られない編み物」の魅力、そして韓国カルチャーが牽引する新しいライフスタイルの融合によって生まれたと言えるでしょう。特に「たわしヤーン」のような革新的な素材の登場は、季節を問わず編み物を楽しむ可能性を広げ、初心者にも手軽にクリエイティブな喜びを提供しています。この夏、あなたも「自由な編み物」の世界に足を踏み入れ、自分だけのオリジナルアイテム作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。


参考文献: