米露首脳会談を2日後に控えた13日、欧米とウクライナの首脳らがオンラインで会合を開き、ウクライナ支援国としての結束を改めて示しました。ドイツのメルツ首相が開催を呼びかけたこの会合では、ウクライナ抜きで停戦合意が進められることへの牽制や、ロシアへの制裁強化の必要性が強調されました。
ドイツの牽制とウクライナの訴え
会合後、ベルリンでウクライナのゼレンスキー大統領と共に記者会見に臨んだメルツ独首相は、トランプ米大統領に対し、ウクライナの意向を無視してロシアとの停戦合意をしないよう明確に牽制しました。ゼレンスキー大統領は、会見でウクライナの支援国が「声をひとつにした」と強調し、ロシアのプーチン大統領が停戦に応じない場合は、ロシアへの制裁圧力をさらに強化すべきだと強く訴えました。また、「プーチン氏にだまされてはいけない」とも述べ、警戒感を露わにしました。
ベルリンでの共同記者会見に臨むウクライナのゼレンスキー大統領とメルツ独首相。米露首脳会談を控えた欧米・ウクライナの結束を示す。
フランス大統領の見解と欧州の期待
一方、フランスのマクロン大統領は会合後、トランプ大統領が「停戦実現に向けて意欲を示した」と歓迎の意を表明しました。しかし同時に、ウクライナ抜きで領土問題を協議すべきではないとの立場を堅持。トランプ大統領が米国、ウクライナ、ロシアの3者による首脳会談を実現し、そのプロセスに欧州が関与することへの期待感も示しました。
会合の進行とNATO事務総長の発言
13日のオンライン会合は2段階で進行しました。まず英国、ドイツ、フランス、ポーランドなど欧州6カ国、欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)の首脳がウクライナのゼレンスキー大統領と協議。その後、トランプ大統領が加わり会談が行われました。ゼレンスキー大統領はベルリンから会合に参加し、日本の石破茂首相もオンラインで参加しました。トランプ大統領は会合直前、欧州首脳について「素晴らしい人たちで、取引を望んでいる」とSNSに投稿しています。
会合に先立ち、NATOのルッテ事務総長は米ABCテレビのインタビューで、国際法の裏付けなしにロシアの占領地維持を容認することも可能だと発言していました。「領土の交換」を提案するトランプ大統領に一定の歩み寄りを見せる一方で、その実現にはロシアとウクライナ間の交渉が前提となるという見解を示しました。
国際法の原則に触れ、領土問題について発言する北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長。
結論
今回の欧米・ウクライナ首脳会合は、米露首脳会談を前に、ウクライナ支援国が一致団結してロシアに対し牽制を行うとともに、ウクライナの主権と領土の一体性を守るための交渉原則を改めて確認する場となりました。各国の思惑が交錯する中、今後の米露首脳会談の行方と、それがウクライナ情勢にどのような影響を与えるかが注目されます。