先日行われた米露首脳会談を受け、ロシアによる侵攻が続くウクライナの首都キーウでは、多くの市民が停戦の実現が見通せない現状に強い失望と憤りの声を上げている。会談が平和への明確な道筋を示さなかったことで、彼らの生活を脅かす戦争が明日も続くことへの不安が広がっている。街の中心部では、会談後も犠牲者の葬列が頻繁に見送られ、戦禍の現実を突きつけている。
米露首脳会談後も続くキーウでの犠牲者葬列の様子。多くの市民が平和を願いながら、戦禍で命を落とした人々を見送っている光景。
若者の失望:会談結果に落胆する声
キーウ時間の16日未明に米露首脳会談が終了すると、学生のミハイロ・オストロフスキーさん(22)は、会談の結果を知るために徹夜でニュースを追っていたという。彼は「トランプ大統領には期待していましたが、停戦が実現せず、非常にガッカリしました。結局、何も変わらず、ロシアによる攻撃が明日からも続くだけだと思うと顔を曇らせました」と、失望感をあらわにした。若者たちの間にも、平和への切実な願いと現実の厳しさとのギャップが広がっている。
戦争犯罪者への批判と犠牲者増加への悲痛
南部オデーサから軍人の夫に2年ぶりに会うためにキーウを訪れたというオレナ・シュリナさん(53)は、今回の首脳会談の開催そのものに対して批判的な見方を示した。「そもそも戦争犯罪者のプーチン露大統領を赤じゅうたんで迎えること自体が間違っています」と強く非難。彼女は目に涙をためながら、「犠牲者は増え続けています。プーチンは今すぐ戦争を止めるべきです」と、悲痛な叫びを訴えた。市民の命が奪われ続ける現状への怒りが、その言葉には込められていた。
戦闘凍結と対話による事態打開の提言
ITエンジニアのオレクサンドル・カルチェンコさん(37)は、さらなる人命の損失を避けるための現実的な提案をした。彼は「現在の戦線での戦闘の凍結が最善策です」と語り、それが事態打開の第一歩になるとの見解を示した。さらに、凍結後のロシア支配地域については「その後で交渉すればいい」とし、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領とプーチン氏による直接会談を通じて、現状を打破する必要があると強調した。長期化する紛争の中で、具体的な解決策を模索する声も上がっている。
米露首脳会談後のキーウでは、停戦への期待が裏切られ、戦争の終結が見えないことへの市民の苦悩が浮き彫りになっている。各々の立場で平和を求める声が聞かれるものの、現状を打破するための具体的な進展は依然として見られず、ウクライナの未来には不確実性が漂っている。
出典: https://news.yahoo.co.jp/articles/6320ac20d362cdebdcf94208182174435b8dc612