NHK連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合・毎週月~土あさ8時~ほか)に出演中のMrs. GREEN APPLE(以下、ミセス)のフロントマン、大森元貴がその卓越した演技で注目を集めています。彼は2025年4月25日公開の映画『真相をお話しします』での演技も高く評価されたものの、決して俳優としての経験が豊富なわけではありません。
正直なところ、大森の本作への出演が4月中旬に発表された際、アニメ映画のキャラクターを専門の声優ではなく俳優が演じることが決まった時と同様の、一抹の不安を覚えました。大森の登場回が近づくにつれてその懸念は高まっていきましたが、実際に彼の演技を目の当たりにすると、その考えは完全に覆されました。「俳優・大森元貴」の可能性を疑ってしまったことに対し、強い罪悪感さえ覚えるほどの好演だったのです。
予想を裏切る「俳優・大森元貴」の出現
大森が演じたのは、誰もが知る名曲『手のひらを太陽に』の作曲を手がけるなど、生涯で1万5000曲以上を作曲した「いずみたく」さんをモデルにした「いせたくや」です。第91回で初登場した時、彼はまだ18歳の学生で、学ラン姿でした。現在28歳の大森が10歳下の役を演じるにも関わらず、それを全く感じさせない自然体な演技を見せました。たくやは独特なノリを持つキャラクターですが、作品全体の雰囲気を損なうことなく、彼の個性を絶妙なバランスで表現していました。
Mrs. GREEN APPLEのフロントマン大森元貴、朝ドラ出演で注目を集める俳優としての姿
その後、素人のど自慢に出場したいのぶ(今田美桜)の妹・メイコ(原菜乃華)のために、練習に付き合うなど、心優しい行動を見せます。この時、メイコは嵩(北村匠海)の親友・健太郎(高橋文哉)に好意を寄せている状況でしたが、「もしかして、いせルートもあり得るのか?」と視聴者の脳裏をよぎらせるほどでした。しかし、たくやはメイコの気持ちを瞬時に見抜き、その可能性は光の速さで消滅しました。彼には下心は一切なく、純粋にメイコを応援したいという気持ちで練習に付き合っていたのです。
音楽家としての経験が役柄に説得力をもたらす
たくやの優しさに加え、音楽に対する彼の情熱がひしひしと伝わってきます。練習中にピアノを弾いたり、お手本として歌ったりする場面は、トップミュージシャンである大森元貴自身が演じることで、いせたくやが情熱と高い技量を兼ね備えたキャラクターであることを示しました。これにより、たくやがいずみたくさんのモデルであるという設定に、より一層の説得力を持たせていたと言えるでしょう。
『ニューズウィーク日本版』の表紙を飾った音楽家・大森元貴
大森元貴の今回の朝ドラ出演は、彼が単なる音楽家としてだけでなく、俳優としても計り知れないポテンシャルを秘めていることを世に示す形となりました。彼の繊細かつ説得力のある演技は、『あんぱん』という作品に新たな魅力を加え、視聴者に深い印象を残しています。今後の彼の多岐にわたる活動から目が離せません。
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