「みんなで大家さん」配当遅延の深層:成田巨大プロジェクトはなぜ更地のままなのか?

多くの人々が少額から資金を出し合い、不動産を共同で所有して収益を得る「みんなで大家さん」という投資商品が注目を集めています。しかし、先月末、この投資商品の運営企業が、出資者に対して「分配金の支払いが遅れる」と通知したことが明らかになり、大きな波紋を呼んでいます。特に主力プロジェクトの一つである「ゲートウェイ成田」の開発状況には、投資家の間で懸念が広がっています。

「ゲートウェイ成田」プロジェクトの実態:壮大な計画と現状の乖離

「未来を感じさせる空間」として宣伝されてきた「ゲートウェイ成田」プロジェクトは、成田空港から車でわずか3分の場所に広がる、東京ドーム10個分にも及ぶ広大な敷地での開発が計画されています。当初の謳い文句によれば、ここには巨大スクリーンを備えた5000席のドーム、エリア最大級のホテル、そして国際会議も開催可能なイベント施設などが建設される予定でした。

しかし、このプロジェクトが始動してから約6年が経過した現在、開発現場に建物の姿はほとんどなく、広大な土地は依然として“ほぼ更地”の状態が続いています。一部にブルーシートが見える程度で、当初の壮大なビジョンとはかけ離れた現状が浮き彫りになっています。この土地の取得資金は、実は個人の投資家たちから集められたものです。

ゲートウェイ成田の計画地で、大規模開発が約束されながらも依然として更地の状態ゲートウェイ成田の計画地で、大規模開発が約束されながらも依然として更地の状態

「みんなで大家さん」の仕組みと配当遅延の経緯

共生バンクグループが展開する「みんなで大家さん」は、1口100万円から個人投資家を募り、複数の出資者が共同で不動産を運営する仕組みとして知られています。「ゲートウェイ成田」のケースでは、共生バンクが組成したファンドが投資家からの出資金で土地を取得し、それを開発業者に貸し出すことで得られる賃料を、出資者への分配金としていました。想定利回りは年7%と高く、2カ月ごとに配当が行われていたため、手軽な金額と高い利回りが多くの投資家にとって魅力となっていました。

ところが、先月31日、突然「分配金の支払いを遅延せざるを得ない事態となり、ご心配とご迷惑をおかけします」との通知が「みんなで大家さん」側からメールで届き、出資者たちは困惑と不安に陥りました。自身の退職金から400万円を出資したという70代の男性投資家は、「やはり成田(空港)という場所は開発が進み、インバウンド需要も拡大するという安心感があった」と語り、今回の事態に「もう不安でしょうがない。急に『明日払えません』とメールが来るなんて、こんなことって本当にあるのか。とにかく出資金だけは返してほしい」と切実な胸の内を明かしました。彼は、この分配金を生活費の足しにしていたといい、その影響は小さくありません。

広がる不安:3万7千人の投資家と2000億円の資金

「みんなで大家さん」は、その手軽な投資額と高い利回りで人気を博し、これまでに3万7000人に及ぶ出資者から、総額2000億円もの資金を集めてきました。その中でも主力プロジェクトの一つとされる「ゲートウェイ成田」において今回の配当遅延が発生したことは、多くの投資家にとって深刻な問題となっています。現状、運営側からは詳細な原因説明は行われておらず、この大規模な資金の行方と、今後の開発計画の進展が不透明なままです。

まとめ

「みんなで大家さん」における「ゲートウェイ成田」プロジェクトの配当遅延は、多くの個人投資家が投じた巨額の資金と、未だ実現しない大規模開発計画との間に生じた深刻な乖離を浮き彫りにしています。高利回りという魅力で多くの資金を集め、生活の一部として分配金を当てにしていた投資家たちの間で不安が広がる中、運営企業には早急な状況説明と問題解決に向けた具体的な対応が求められています。今後のプロジェクトの透明性と資金の保全に向けた動向が、引き続き注目されます。


参考文献