ドイツ外相、初訪日で日独戦略的関係強化を強調

ドイツのヨハン・ワーデフール外相は、就任後初の日本訪問に先立ち読売新聞の書面インタビューに応じ、日本を国際秩序の強化と安全保障における「価値と利益を共有する緊密なパートナー」であると強調した。同氏は、今回の訪問を通じて日独間の戦略的関係を一層強化する意向を示している。

日独戦略的関係の深化とインド太平洋戦略の重視

今年5月に発足した独メルツ政権は、インド太平洋戦略を外交の重要課題と位置付けており、ワーデフール外相がアジアで最初に日本を訪問先に選んだのは、その重視の表れである。同外相は、欧州とインド太平洋地域の安全保障は密接に結びついており、両地域が互いに不可分な関係にあるとの認識を表明した。

ドイツのヨハン・ワーデフール外相、日本訪問に際し国際秩序強化と日独関係の重要性を強調ドイツのヨハン・ワーデフール外相、日本訪問に際し国際秩序強化と日独関係の重要性を強調

さらに、ワーデフール外相は「日独が安全保障面でより大きな責任を担うべきだ」と明言し、両国が国際的な安定に貢献する役割の拡大を促した。この発言は、国際秩序の強化に向けた日独協力のさらなる深化を示唆するものとみられる。

新たな国際協力枠組みとウクライナ支援の呼びかけ

国際的な枠組みからの米国の離脱など「国際的な不確実性」が増大する現状において、ワーデフール外相は、信頼で結ばれた日独両国が「新たな協力の推進力になりうる」と訴えた。特に注目されるのは、ドイツ、英国、フランス、ポーランドの欧州4カ国と、北大西洋条約機構(NATO)のパートナーである日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの計8カ国による「新たな協力枠組み」の創設に強い意欲を示した点である。同外相は、この枠組みが実現すれば「相当な重みを持つ」と語り、国際社会におけるその影響力に期待を寄せた。

ロシアによるウクライナ侵略に関して、ワーデフール外相は日本のウクライナへの支援が「これからも必要不可欠である」と述べ、その継続を強く求めた。また、停戦の実現に向けて欧州諸国と連携し、ロシアに対する圧力を強化するよう日本に協力を呼びかけた。

ロシアへの継続的圧力と公正な和平の定義

読売新聞の書面インタビューで、ワーデフール外相は、ロシアが停戦に向けて真剣な動きを見せなければ、欧州として対ロシア圧力を強化し続ける方針を表明。この中で、「ここで日本の協力を期待できるか否かは決定的な意味を持つ」と述べ、日本の共同歩調の重要性を強調した。

同外相は、15日に開催されたトランプ米大統領とプーチン露大統領の首脳会談に言及し、「プーチンは自身が『力の言語』を話す人間であることを改めて見せつけた」と指摘し、ウクライナへの攻撃を続けるプーチン大統領の停戦に向けた真摯な意図に懐疑的な見方を示した。

その上で、ワーデフール外相は「公正な和平とは、ウクライナの安全が長期的に確保され、欧州の安全保障上の利益が守られる和平だ」と定義した。そして、「これが実現して初めて、プーチンが今いる場所から今行っていることを、そのまま数年後に続行する危険を防ぐことができる」と述べ、ウクライナの将来的な安全保障と欧州全体の安定に資する和平の必要性を強く訴えた。

ヨハン・ワーデフール独外相の日本訪問は、日独間の戦略的関係を一層深め、国際秩序の安定に共同で貢献する強い意志を示すものとなった。インド太平洋戦略へのコミットメント、新たな国際協力枠組みの提案、そしてウクライナ支援と対ロシア圧力における日本の協調の呼びかけは、不確実な国際情勢下での日独両国の連携の重要性を改めて浮き彫りにしている。

参照元

Source link