ロシア・ウクライナ戦争終結への道筋は?米・ウクライナ首脳会談に注目

先週末の米ロ首脳会談に続き、日本時間19日にはトランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談が予定されています。3年半に及ぶロシアとウクライナの戦争は、果たして終止符が打たれるのでしょうか。米ロ首脳会談後の会見でトランプ大統領は「一定の進展はあったものの、停戦合意には至らなかった」と発言しましたが、その詳しい内容が明らかになってきています。

米ロ首脳会談の成果とウクライナ領土問題

海外メディアの報道によると、プーチン大統領はウクライナ東部のドンバス地方、ドネツク州とルハンスク州の譲渡を要求したとされています。一方で、ゼレンスキー大統領はウクライナ国民が自らの土地を占領者に譲り渡すことはないと、この要求を否定する姿勢を示しています。

なぜドンバス地方はロシアにとって不可欠なのか?

FNNモスクワ支局の土井支局長は、プーチン大統領がドンバス地方に固執する理由を3つのポイントで説明しています。

親ロ派住民の保護

ドンバス地域には、ウクライナ国内でも親ロ派などロシア系住民が多く生活しており、ロシアは彼らの保護を名目にウクライナ侵攻(特別軍事作戦と称する)を開始しました。これは当初から挙げられていた理由の一つです。

安全保障上の緩衝地帯

ドンバスはウクライナ東部の主要な防衛ラインであり、ロシアにとってはNATOや西側勢力の接近を防ぐための緩衝地帯として、安全保障上極めて重要な地域と位置付けられています。

経済的価値と重工業・石炭生産

ドンバスはウクライナ有数の重工業・石炭生産地域であり、その経済的価値もロシアが手放せない理由となっています。

米国メディアの反応とトランプ大統領の戦略

米ロ首脳会談を受け、米国国内では批判的な報道が多く見られます。トランプ政権に常に好意的な保守系FOXニュースでさえ、停戦合意に至らなかったと報じています。CNNは会談を「プーチン大統領の勝利」と見出しを打ち、トランプ大統領がロシアに対し新たな制裁を加えなかったことや、ロシアから石油を輸入する国への制裁を科さなかったことを指摘しています。

和平合意に向けた焦点の一つである領土の譲渡に関して、トランプ政権は最終的にはウクライナが決めることだとしています。トランプ大統領も18日、自身のSNSで「ゼレンスキー大統領が望めば即座にロシアとの戦争を終わらせられるし、戦い続けることもできる」と発言し、ウクライナに対し領土を譲渡するよう圧力をかけています。トランプ政権の幹部は「19日の協議を踏まえて、ロシア側に提示して受け入れさせなければならない」と述べており、ロシア側が納得する着地点を見いだせるか、難しい交渉が予想されます。

欧州諸国の懸念と「緩衝材」としての役割

日本時間19日の会談には、EUの委員長やフランス、ドイツなどの首脳も参加する情報があり、彼らが全員でトランプ大統領に挑む形となります。ヨーロッパ各国は、プーチン大統領の要求のままウクライナ領土の譲渡を許せば、今後はヨーロッパの国々に脅威が及ぶことを懸念しています。フランスのマクロン大統領も、ロシアに対して今弱腰になれば次の紛争につながると警告し、ウクライナへの影響だけでなく、サイバー攻撃や海の支配など、ロシアの脅威が広がる可能性に危機感を示しています。

また、2025年2月にトランプ大統領とゼレンスキー大統領が激しい口論になったことを踏まえ、今回の欧州首脳の参加は、両大統領間の「緩衝材」となることも目的とされています。しかし、ウクライナやヨーロッパの首脳らが強硬な姿勢を見せれば、トランプ大統領の怒りを買い、交渉のさらなる停滞は避けられません。ウクライナ側にとっては困難な譲歩を迫られることは避けられない見通しで、ロシア寄りとも指摘されるトランプ大統領を、ゼレンスキー大統領や会談に参加するヨーロッパの首脳らがどう納得させられるかが焦点となりそうです。

日本の外交と平和への貢献

石破首相も18日夜、オンライン会談に出席しましたが、停戦に向けて日本政府としてできることについて、SPキャスターの岩田明子氏は「まさに首脳同士の信頼関係がものを言う局面になっているので、日本のこれまでの外交レガシーを生かして、ヨーロッパだけでなくアメリカ・ロシア・ウクライナとも働きかけをするべき」と指摘しています。

今後の焦点と会談スケジュール

ゼレンスキー大統領はすでにワシントンに到着しており、ヨーロッパ首脳らも参加するトランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談は、日本時間の19日午前2時15分、ホワイトハウスで行われます。この会談が、長期化するウクライナ戦争にどのような影響を与えるのか、国際社会の注目が集まっています。

参考資料

  • FNNプライムオンライン
  • フジテレビ国際取材部
  • Yahoo!ニュース(元記事リンク)