天皇、皇后両陛下の長女、愛子さまは、11月に初の海外訪問となるラオスを訪れた。神道学者で皇室研究家の高森明勅さんは「国内では既に、『愛子天皇』待望論が高まっているが、今後、敬宮殿下(愛子さま)が海外公務を重ねることで、それが海外にも波及する気配がある」という――。
【写真】愛子さまは、訪れたラオスの病院で、ぬいぐるみを受け取られた
■看護学部の記念式典にご出席
12月14日、天皇皇后両陛下のご長女、敬宮(としのみや)(愛子内親王)殿下は、千葉大学の看護学部創立50周年記念式典にお出ましになった。同看護学部は、国立大学で唯一の学部で、これまでに約4000人の看護人材を輩出して来たという。
午後1時半頃に到着された敬宮殿下は、出迎えの関係者に「50周年おめでとうございます」とにこやかにお声をかけられた。
式典ではおことばを述べられた。
———-
「私は、幼少の頃より折に触れて、看護師の的確な判断や対象者の意をくんだ臨機応変な対応に接し、相手の心身に寄り添う誠実な姿勢に、看護師の素晴らしさを感じてまいりました」
「地震や豪雨などの様々な自然災害が発生する中で、災害時の看護や被災者への支援に力を注ぐこともますます大切になってきているものと思います」
———-
借り物ではない、ご自身の言葉で語ろうとされるお気持ちが伝わる。
おことばの中では、ご自身が5月に能登半島の被災地を訪問された経験も踏まえながら、学生たちのこれからの活躍に期待を寄せられた。その場にいた学生たちにとって、この上なく大きな励ましになったに違いない。
壇上のお席に座っておられる時に、姿勢を動かさないで、静かに会場を広く見渡しておられたお姿が、印象に残る。年齢が近い学生一人ひとりの表情に目を止めながら、おそらく心の中で優しく思いを寄せておられたのではないだろうか。
■「看護師の愛子」というファンタジー
この時のニュースに接して、敬宮殿下が学習院中等科1年の時に書かれた作文を思い浮かべた人もいただろう。短編のファンタジー小説と言うべき作品、「看護師の愛子」だ。
この作品は、空想上の「看護師の愛子」が務める診療所が海に流され、愛子はその「海の上の診療所」で傷ついた海の生き物たちを「精一杯」看護する、という物語だ。その締めくくりは次のようになっていた。
———-
「愛子の名は海じゅうに知れ渡り、私は海の生き物たちの生きる活力となっていったのである。そう。愛子の診療所は、正に海の上の診療所になったのだ。今日も愛子はどんどんやってくる患者を精一杯看病し、沢山の勇気と希望を与えていることだろう」
———-
他者への献身の象徴として、「看護師」は当時の敬宮殿下にとって、“憧れの職業”だったのかもしれない。式典での「幼少の頃より……」というおことばと重なる。





