ニュージーランドの人里離れた荒野で約4年間行方不明のトーマス・カラム・フィリップス容疑者と3人の子どもたち。これまで公に語られることのなかったその家族が初めて沈黙を破り、彼らの安否への懸念が改めて高まっている。
行方不明となっているジェイダさん、マーベリックさん、エンバーさんの3人の子どもたち
失踪の経緯と家族の訴え
2021年12月、フィリップス容疑者は当時12歳のジェイダさん、10歳のマーベリックさん、9歳のエンバーさんと共に姿を消した。複数回の目撃情報や警察の捜索にも関わらず、現在も彼らの所在は不明のままだ。フィリップス容疑者自身は銀行強盗など複数の事件で指名手配されており、警察は子どもたちの安否を深く懸念している。
今回、行方不明のフィリップス容疑者の兄弟であるロジー・フィリップスさんが地元メディアの取材に初めて応じ、家族がいかに彼らを恋しく思っているかを涙ながらに語った。ロジーさんは「あなたが恋しい。あなたの人生の一部でいられずに寂しい。また会いたい」と訴えた。さらに、失踪したフィリップス容疑者に宛てた母親(子どもたちの祖母)の直筆の手紙も読み上げられ、手紙には「子どもたちの写真を見るたび胸が痛む」「毎日、あなたたちの人生の一部でいられずに本当に寂しいです。今日こそあなたたちに会える日になればと願っています」と綴られていた。こうした家族の切なる声が、人里離れた場所にいるとされるフィリップス容疑者に届くかどうかは不明である。
警察の捜査と容疑者の行動
警察は、フィリップス容疑者が水道や電気などのインフラに頼らず、サバイバル技術を駆使して子どもたちに衣食住を与えていると推測している。事態打開を目指し、昨年6月には、子どもたちの安全な保護につながる情報に対し、8万ニュージーランドドル(日本円で約700万円相当)の報奨金を出すと発表した。
フィリップス容疑者は2023年5月に発生した銀行での武装強盗、同年11月には未成年者と共に店の窓を割り、盗んだ四輪バギーで逃走した疑いがある。防犯カメラには現金を奪いバイクで逃走する彼の姿が映っていたほか、ホームセンターで顔を覆って商品を購入する姿も確認されている。警察は今月19日、CNNの取材に対し「新たな情報はない」と回答したが、フィリップス容疑者が逃走を続ける上で支援者の助けを得ている可能性を示唆した。ロジーさんは失踪以来、フィリップス容疑者と一切連絡を取っていないと述べ、今回の公の発言は「もしかしたら、これを彼が目にするかもしれない。帰れること、私たちが待っていることを知ってくれるかもしれない」という希望からだと語った。
子どもたちの母親であるキャットさんも昨年、情報提供を呼びかけるビデオを自身のFacebookに投稿し、「どうか私の子どもたちを家に連れ戻す助けを」と切実に訴えていた。彼女はトーマス・カラム・フィリップス容疑者の行為を厳しく非難し、「トーマスのしていることは許されない。何もかも許されない。子どもたちはこんな扱いを受けるべきではない」と語っている。
結論
約4年間に及ぶトーマス・カラム・フィリップス容疑者と3人の子どもたちの失踪事件は、家族の深い悲しみと社会の懸念を浮き彫りにしている。警察の継続的な捜査と報奨金制度が続く中、家族からの切なるメッセージが事態解決への新たな一歩となるか注目される。何よりも、子どもたちの安全な保護が最優先課題である。
参考資料
- Yahoo!ニュース (元記事: CNN)