福井県永平寺町に位置する曹洞宗の大本山永平寺は、1244年に宗祖道元禅師によって開かれ、その厳格な修行で「日本一厳しい修行の寺」として広く知られています。曹洞宗には永平寺と神奈川県の總持寺の二つの大本山がありますが、特に永平寺はその中心的存在です。しかし、この度、その永平寺で前代未聞の事件が発生したことが集英社オンラインの取材で明らかになりました。愛知県内の高校が実施した永平寺での合宿研修において、20名以上の女子生徒が修行僧の男性から性加害を受けていたという衝撃的な内容です。
永平寺の荘厳な歴史と「修行の聖地」としての顔
福井県の山あいに佇む大本山永平寺は、その荘厳な佇まいが訪れる人々を圧倒します。紅葉の名所としても知られ、門前には土産物店や蕎麦屋が軒を連ね、観光客で賑わいます。地元土産物店の女性店員は、「永平寺には全国から僧侶が集まり、曹洞宗の中枢として修行僧を育てる寺なんです。修行を終えると、彼らは全国の寺院へ散らばっていきます。現在は100人以上、多い時には200人以上の修行僧がいることもありますよ」と語ります。また、この寺はAppleの創業者スティーブ・ジョブズも憧れを抱き、修行を望んだことでも有名です。
永平寺の全景。福井県の山間に佇む荘厳な大本山永平寺の姿
曹洞宗関係者によると、「大本山永平寺での修行は、僧侶にとってまさに箔がつきます。本家での修行は高く評価されるのです。午前3時半の起床から座禅、掃除、作務、法要準備など様々な行が続き、スマートフォンはもちろん、着るもの以外は基本的に持ち込み禁止で、娯楽は一切ありません」と、その修行の厳しさを説明します。700年以上の歴史を持つこの聖地で、今回の“性加害事件”が発生したのは今年の6月から7月にかけてのことでした。
合宿研修中に発覚した前代未聞の性加害事件
被害に遭った女子生徒が通う学校の関係者が、事件の経緯を証言しています。「私たちの高校では、宗教情操教育の一環として永平寺での座禅体験や精進料理の試食、実際の修行を体験する合宿研修を実施しています。参加人数が多いため、班ごとに分かれて合宿を行っていたのですが、合宿が終わり帰宅した複数の生徒が『お寺の人に体を触られた』と教師や保護者に訴え出て、事件が発覚しました。合宿に参加したすべての班に聞き取り調査を行った結果、20名以上の生徒が被害を申し出ました」
事件を起こしたのは、20代半ばの修行僧Aでした。学校関係者の証言によると、被害に遭った生徒の一人は、座禅指導中に体調を崩し休んでいた際、修行僧Aが背中をさすり始め、その手が徐々に下に移動し臀部を触られたと訴えています。また、他の被害生徒からは、合宿中に夜寝るための布団を運ぶ最中や、布団を片づける際に臀部を触られたとの報告が寄せられています。修行僧Aは事件発覚後、永平寺を下山させられたと報じられています。
永平寺での修行中に女子生徒20名以上に性加加害を行い下山させられた修行僧のイメージ
伝統と信頼を揺るがす深刻な事態
大本山永平寺という、日本の精神的支柱の一つとも言える場所で、教育目的の合宿に参加した未成年の女子生徒たちが性加害を受けるという事態は、その信頼性と伝統を大きく揺るがすものです。今回の事件は、宗教施設における安全管理の重要性、そして信仰と教育の名の下に行われる活動の透明性に対し、社会全体に問いを投げかけています。関係機関による徹底した調査と再発防止策の確立が強く求められます。
引用元: Yahoo!ニュース(集英社オンライン)