米国のトランプ大統領と欧州首脳らが先日行った会談において、ホワイトハウスが公開した一枚の写真が国際的な論争を巻き起こしています。この写真は、通常の外交通例から逸脱した座席配置が波紋を呼び、欧州各国からは「屈辱的」との声が相次いでいます。
論争の焦点となったホワイトハウスの「扇状」座席配置
英インディペンデント紙など複数の外信によると、ホワイトハウスはワシントンでの会合後、SNS(交流サイト)を通じ、トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領ら欧州首脳らが執務室で会談する様子を撮影した写真を公開しました。問題となったのは、その座席配置です。写真ではトランプ大統領だけが執務室の机に座り、それ以外の首脳らはトランプ大統領を中心に机のない椅子に扇状に座っていました。
この会合には、英国のスターマー首相、イタリアのメローニ首相、EU(欧州連合)のフォンデアライエン委員長、ドイツのメルツ首相、フランスのマクロン大統領、フィンランドのストゥブ大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領、NATO(北大西洋条約機構)のルッテ事務総長らが参加していました。複数の国のトップが集まる外交上の会合では、通常、上席のない円形テーブルなどが用いられるのが慣例とされていますが、ホワイトハウスが公開した写真はトランプ大統領が一人で上席に座る形であったため、外交儀礼に反するとして問題視されました。
トランプ大統領と欧州首脳らがホワイトハウス執務室で会談する様子。トランプ大統領が机に座り、他首脳が扇状に配置されている座席が論争の的となった一枚。
「力による平和」と「問題を起こした生徒」:対照的なメッセージ
ホワイトハウスはこの写真に「力による平和」という言葉を付して公開し、さらに「欧州の指導者らがトランプ大統領と共にホワイトハウス執務室に集まる歴史的な一日だった」「トランプ大統領は平和の大統領」とのコメントを添えました。これは、トランプ政権の外交方針を象徴するメッセージとして受け取られました。
しかし、この座席配置と写真が発するメッセージに対し、欧州各国からは強い反発の声が上がっています。英インディペンデント紙は、現地の反応として「まるでトランプ大統領が問題を起こした生徒たちを叱っているようだ」と伝え、欧州が屈辱的な状況に置かれたとの認識が広がっていることを報じました。
インターネット上でも批判が相次ぎ、「本当に息が詰まるほど無礼な場面だ」「なぜ欧州首脳たちはこの侮辱的な状況を受け入れたのか疑問だ」「欧州の首脳はこの座席配置を誰も拒否しなかったのか? 欧州連合ができてから最も恥ずかしい場面だ」といったコメントが投稿され、欧州の指導者たちがこのような状況を容認したことへの疑問と失望が表明されました。
トランプ政権の外交戦略を象徴する一枚
今回の会談写真が示すものは、単なる座席配置の問題に留まりません。第2次トランプ政権が推進する外交安全保障政策は、圧倒的な軍事力と経済力を背景に相手国に圧力をかけ、それによって平和を実現するという考え方に基づいています。ホワイトハウスが意図的にこのような構図の写真を公開し、「力による平和」というメッセージを付加したことは、その政策姿勢を国際社会に強く印象付ける象徴的な行動であると分析されています。この一枚の写真は、今後の国際秩序におけるトランプ氏の強硬なアプローチと、それに対する欧州の複雑な立場を浮き彫りにしています。
Source link: https://news.yahoo.co.jp/articles/854be78edf91e66e34d25cb09429bf74da7f3f1a