元米大統領ドナルド・トランプ氏は22日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対し、ウクライナ和平交渉を進めるための「数週間」の猶予を与える意向を表明しました。これは、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との会談を促した後、ロシアに対する潜在的な制裁措置の期限をさらに延長する形となります。米CNNとの会見で明らかになった今回の発言は、停滞するウクライナ紛争の和平プロセスに新たな動きをもたらす可能性を示唆しています。
トランプ氏の介入と「数週間」の猶予
トランプ氏はCNNに対し、プーチン大統領が交渉のテーブルに着かない場合に何の措置も講じない可能性について問われると、「様子を見よう。誰の責任か見極めるつもりだ」と回答しました。さらに、「もし理由があるなら、それを理解する。自分が何をしているかはよく分かっている。彼らが会談するかどうかを見極めるのは興味深い。もし会談しないなら、その理由は何か？ こちらからは会談するように言ってある」と述べ、自身の仲介役としての役割を強調しました。トランプ氏は、「それでも、2週間後に自分が何をするかは分かる」と付け加え、ウクライナ戦争終結に向けたプーチン氏の意向を判断するため、これまでも繰り返し言及してきた期限を改めて示しました。
停滞する和平協議の現状
現時点では、和平協議を巡る機運は停滞しており、ホワイトハウスが推し進めてきたロシアとウクライナの首脳による二者会談は実現の兆しが見えません。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は同日、両首脳の会談の予定はないと述べ、交渉の困難さを浮き彫りにしました。この背景には、ウクライナ紛争を巡る両国の根本的な立場の隔たりがあると見られます。
相次ぐ首脳会談と三者協議の提案
トランプ氏は先週、アラスカでプーチン大統領と会談し、今週初めにはウクライナのゼレンスキー大統領と欧州各国首脳をホワイトハウスに迎えました。これらの会談後、トランプ氏はロシアとウクライナの二者会談の開催を呼びかけ、自身の参加を想定した三者会談の可能性も示唆していました。22日の会見で「2週間」という期限を何度も繰り返す中で、トランプ氏は大統領執務室のデスクからアラスカ州アンカレッジでプーチン大統領と撮った写真を取り出し、プーチン氏から送られてきたものだと説明しました。
トランプ前大統領が執務室でプーチン大統領との会談写真を示す様子。ウクライナ和平協議の進展を促す発言の中で取り出された一枚。
プーチン大統領の反応と米露関係の展望
プーチン大統領は22日、トランプ大統領との最近の会談を「非常に良好」と評し、ロシアがウクライナ紛争の終結を目指していると述べました。しかし、ゼレンスキー大統領との二者会談に出席するかどうかについては言及しませんでした。プーチン大統領は、ロシアと米国の機関は引き続き連絡を取り合っており、両国関係の「全面的な回復」を期待していると付け加え、将来的な関係改善への意欲を示唆しました。
今回のトランプ氏の発言と各国の反応は、ウクライナ和平交渉が依然として複雑な状況にあることを示しています。トランプ氏による新たな期限設定が、膠着状態にある交渉を動かすきっかけとなるのか、今後の展開が注目されます。
