宮殿行事や園遊会を除けば、妃殿下方が一堂に会する公務は限られています。2025年7月31日に開催された第50回フローレンス・ナイチンゲール記章授与式は、そのような貴重な機会の一つとなりました。この授与式には、日本赤十字社の名誉総裁である雅子さま、そして名誉副総裁を務める各妃殿下方がご出席されました。特に、和装の達人として知られる常陸宮妃華子さまの洋装における洗練された着こなしは、多くの注目を集め、専門家からも絶賛の声が上がっています。
フローレンス・ナイチンゲール記章授与式の概要と皇室の方々のご臨席
およそ500名が参列したフローレンス・ナイチンゲール記章授与式は、東京プリンスホテルを会場に盛大に執り行われました。ホテルの入り口には赤い絨毯が敷かれ、日本赤十字社職員、ホテル関係者、そして皇室警備担当者が慌ただしく動き、厳粛な雰囲気に包まれました。この記章は、人道的な看護活動において特に顕著な功績を挙げた看護師に贈られる国際的な栄誉です。今年は、1985年の日航機墜落事故において、看護の責任者として延べ1000人の看護師を指揮・統率した春山典子さんを含む3名が受章しました。
式典の開始前には、高円宮妃久子さま、寛仁親王妃信子さまが相次いで会場に到着されました。そして午後1時半前、常陸宮妃華子さまをお乗せになった車が車寄せに到着。白いハイヒール、バッグ、そして繊細なチュールレースで飾られた白のクローシェ帽をまとわれた華子さまは、杖をお使いになりながらも、ゆっくりと優雅にお車から降りられました。出迎えの日本赤十字社関係者一人ひとりに会釈をされ、短く言葉を交わされるお姿は、その品格と細やかなお心遣いを物語っていました。
常陸宮妃華子さま、第50回フローレンス・ナイチンゲール記章授与式に到着。白のバッグ、手袋、チュールレースの帽子を合わせたエレガントな洋装
常陸宮妃華子さまのエレガントな白の着こなし
皇后雅子さまをはじめ、各妃殿下方は、記章を受章者に授与し、その功績を祝福する立場にあります。この日の装いの中で最も目を引いたのは、華子さまがまとわれた、淡いキャメルと白のバイカラーのスーツでした。特に、白いハイヒール、白いバッグ、そして白いチュールレースの飾りが施されたクローシェ帽は、その配色が絶妙なバランスで組み合わされ、ひときわ優雅な雰囲気を醸し出していました。
長年パリコレクションの取材を続けてきたファッション評論家の石原裕子さんは、華子さまの着こなしについて「華子さまは、お洒落の達人」と称賛します。85歳というご年齢を感じさせない、洗練されたたたずまいは、白を効果的に用いることで、華やかさの中にも知性と品格が際立っていました。控えめでありながらも細部にまでこだわり抜かれたそのファッションセンスは、まさに「かっこいい白」と評されるにふさわしいものでした。左胸に留められた日本赤十字社の名誉副総裁を表す赤い記章も、全体の装いに品格を添えていました。
華子さまの品格と国民からの敬愛
この夏に85歳の誕生日を迎えられた常陸宮妃華子さまは、旧陸奥弘前藩主・津軽家の出身でいらっしゃいます。若い頃から和装を完璧に着こなされ、その一方で洋装においても卓越したセンスを発揮されてきました。常にチャーミングな笑顔を絶やさず、国内外の公務に熱心に取り組んでこられたお姿は、長年にわたり多くの国民から深く敬愛されています。
フローレンス・ナイチンゲール記章授与式における華子さまのエレガントな白の着こなしは、単なるファッションに留まらず、そのお人柄と品格がにじみ出るものでした。公務の場での洗練された装いは、皇室の伝統と現代的な美意識が見事に融合したものであり、日本赤十字社の活動を支える妃殿下としての、揺るぎないお立場と深いお心持ちを表すものであったと言えるでしょう。