オーストラリアの水道水から「脳を食べるアメーバ」検出:住民に注意喚起

「脳を食べるアメーバ」として知られる「Naegleria fowleri(フォーラーネグレリア)」がオーストラリアの水道水から検出され、当局が住民に対し厳重な注意を呼びかけている。この単細胞原生動物は、感染すると致死率の高い原発性アメーバ性髄膜脳炎(PAM)を引き起こすことがあり、世界中で警戒されている。今回の発見は、地域社会の公衆衛生管理において新たな課題を提起している。

クイーンズランド州でのフォーラーネグレリア検出状況

今月初め、オーストラリアの地方議会は、クイーンズランド州ブリスベンから西へ約750キロメートル離れた小都市オーガセラおよびチャールビルに供給される地域用水からフォーラーネグレリアが検出されたと発表した。この事実は、クイーンズランド州保健省の要請を受け、クイーンズランド大学が実施した包括的な水質検査の結果として明らかになったものだ。保健当局は現在、この「脳を食べるアメーバ」の正確な拡散範囲を特定するため、これら2都市における追加の水サンプル収集と検査を緊急に進めている。

「脳を食べるアメーバ」として知られるフォーラーネグレリアの顕微鏡イメージ図。脳炎を引き起こす危険な微生物「脳を食べるアメーバ」として知られるフォーラーネグレリアの顕微鏡イメージ図。脳炎を引き起こす危険な微生物

フォーラーネグレリアの危険性と感染経路

フォーラーネグレリアは、主に25~40℃の温暖な淡水環境で増殖する単細胞原生動物である。河川、池、湖、温泉などの自然水域に生息するほか、適切に管理されていないプールや水道水からも発見されることがある。このアメーバが人体に侵入すると、稀ながらも致死性の高い原発性アメーバ性髄膜脳炎(PAM)を発症させる。初期症状としては、激しい頭痛、発熱、吐き気、嘔吐などが現れ、多くの場合、発症からわずか5日程度で昏睡状態に陥り、7~10日以内に死亡するという極めて深刻な経過をたどる。

興味深いことに、フォーラーネグレリアは人から人への感染は確認されていない。また、汚染された水を飲んだり、洗濯に使用したりするだけでは感染リスクは低い。感染は主に、水泳やダイビングなど、水が鼻腔を通じて脳に到達する活動を通じて発生するとされている。

感染リスクを最小限に抑えるための予防策

クイーンズランド州保健省の広報担当者は、地域住民に対し、日常生活における具体的な予防策を推奨している。特に重要なのは、入浴、シャワー、洗顔時に鼻に水が入らないよう細心の注意を払うことだ。この簡単な対策を実践することで、地域社会全体でのフォーラーネグレリア感染リスクを最小限に抑えることができると強調している。公衆衛生当局は、引き続き水質モニタリングと情報提供を強化し、住民の安全確保に努める方針である。

Source link