韓国羅州市、動物権団体を名誉毀損で告訴:虚偽の犬虐待投稿が引き起こした波紋

韓国の全羅南道羅州市(チョルラナムド・ナジュシ)住民が、伏日(ポンナル、日本でいう土用の丑の日のように栄養のあるものを食べる日)を前に犬の屠殺を試みたという虚偽の内容をソーシャルメディア(SNS)に投稿した動物権団体に対し、名誉毀損で告訴しました。この事件は、不確かな情報がオンライン上で拡散されることの危険性と、それによって地域社会が直面する深刻な影響を浮き彫りにしています。

発端:路上で発見された負傷犬と動物権団体の憶測

路上での犬の救助と団体の最初の発表

今年7月31日、羅州市の路上で頭部に激しい傷を負ったオス犬一匹が発見されました。市の野犬センターはこの犬を救助し、動物病院に搬送して治療を受けさせました。しかし、この事実を把握したA動物権団体は、「犬食用のための虐待」と一方的に推定し、SNSに関連する投稿を行いました。

韓国羅州市で頭部に負傷を負い救助された犬の姿。動物権団体の虚偽投稿の対象となった犬である。韓国羅州市で頭部に負傷を負い救助された犬の姿。動物権団体の虚偽投稿の対象となった犬である。

SNS投稿における「犬肉消費目的の虐待」の主張

団体はSNSにおいて、「2025年7月31日、中伏(伏日のひとつ)の翌日、全羅南道羅州市のある村で信じがたい残酷な事件が発生した」と記しました。続けて「ハンマーで頭を数回殴打された犬が逃げ出し、血まみれの状態で村に現れた」「この犬は昏睡状態に陥って倒れた。頭がひどく腫れ上がっていた」と、悲惨な状況を強調しました。さらに団体は、「伏日前後に発生する鈍器での暴行は、大部分が犬肉消費に関連した屠殺の試み」だと主張。電気ショックではなくハンマーで殴打したことから、「この行為が専門の屠殺場で行われたのではなく、田舎の村の誰かが密かに犬を捕まえようとしたという強力な証拠」だと、羅州市の地域住民に対する強い憶測と非難を広げました。

伏日との関連付けと地域住民への非難

この投稿は、「犬を殺そうとした者を探し、治療費を助けたい」という呼びかけと共に、伏日という韓国特有の食文化と結びつけられ、瞬く間にインターネット上で拡散。羅州市の住民に対して激しい非難世論が巻き起こる結果となりました。村では犬を屠殺しようとした事実はなかったにもかかわらず、団体はまるで動物虐待があったかのような虚偽情報を発信し続けたのです。

警察捜査による事実の解明

専門家の見解と警察の最終結論

しかし、事態はA団体の主張とは異なる方向へ進みました。警察が本格的な捜査に乗り出した結果、当該事件の真相が明らかになったのです。警察の徹底した調査と専門家の見解に基づき、団体の「犬肉消費目的の虐殺」という憶測は否定されました。

「犬同士の噛みつき合い」が原因

警察捜査の結果判明したのは、未明の時間帯に犬同士の噛みつき合いによる事故だったということです。団体がSNSで主張したような人間による犬への虐待、ましてや伏日に関連する犬肉消費を目的とした屠殺の試みは一切なかったことが明確になりました。

地域社会の反発と名誉毀損訴訟

虚偽情報によるコミュニティの名誉毀損

羅州市金川面(クムチョンミョン)里長協議会は、A動物権団体の憶測に基づく虚偽投稿が、村の名誉を著しく失墜させたとして、団体を名誉毀損容疑で警察に告訴しました。住民たちは、事実に基づかない情報によって地域社会全体が不当な非難に晒されたことに強く反発しています。

謝罪と投稿削除、そして法廷闘争へ

地域住民は、A団体に対し、公の場での謝罪と、虚偽の情報を拡散したSNS投稿の即時削除を強く要求しています。今回の名誉毀損訴訟は、オンライン上の情報発信における責任の重さと、誤情報の拡散が個人のみならず地域社会全体に及ぼす深刻な影響を改めて浮き彫りにする事例となるでしょう。羅州市の住民たちは、一連の出来事によって失墜した村の名誉回復を強く求めています。

結論

今回の虚偽投稿事件は、SNSにおける情報発信の責任と事実確認の重要性を改めて示唆しています。動物愛護という社会的関心の高いテーマであっても、憶測に基づく情報が拡散されれば、無関係な地域住民の名誉を著しく傷つけ、社会に混乱をもたらしかねません。羅州市の住民たちは、A団体の憶測に基づく主張が村の名誉を著しく毀損したとして、謝罪と該当投稿の削除を求め、警察に名誉毀損で告訴しています。

参考文献