定年退職を迎えた親の年金額が「月20万円」と聞き、これが平均と比べて多いのか少ないのか、気になる方は少なくありません。日本の公的年金制度は「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の2階建て構造で成り立っており、その受給額は加入期間や現役時代の収入によって大きく異なります。この記事では、厚生労働省の最新統計データに基づき、「月20万円」の年金額が平均と比べてどのような水準にあるのかを詳しく解説し、その背景についても深掘りします。
年金受給額20万円が平均より多いか気になる夫婦
日本の公的年金制度の基礎知識と平均受給額
日本の公的年金制度は、国民全体が加入する「国民年金」と、会社員や公務員などが加入する「厚生年金」の二つの柱で構成されています。それぞれの平均受給額を知ることは、「月20万円」の年金額を評価する上で不可欠です。
2階建て構造:国民年金と厚生年金
- 国民年金(1階部分): 20歳以上60歳未満の日本国民全員が加入する基礎年金です。保険料を納めることで、老後に「老齢基礎年金」を受け取ることができます。
- 厚生年金(2階部分): 会社員や公務員が国民年金に上乗せして加入する年金です。現役時代の給与に応じて保険料が決まり、老後に「老齢厚生年金」が基礎年金に加えて支給されます。
最新データに見る国民年金の平均受給額
厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金(老齢基礎年金)の平均受給額は月額約5万7700円です。令和7年度の老齢基礎年金の満額は月額6万9308円ですが、保険料の未納期間がある人や、学生納付特例などを利用した人がいるため、実際の平均は満額を下回る傾向にあります。
厚生年金の平均受給額とその男女差
同じく厚生労働省のデータでは、厚生年金(老齢厚生年金に基礎年金を含む合計)の平均受給額は月額14万6429円です。この数値には大きな男女差があり、男性は16万9484円、女性は11万1479円となっています(いずれも65歳以上)。この差は、現役時代の収入や厚生年金の加入期間の違いが大きく反映された結果といえます。
月20万円の年金は「かなり高い水準」と評価できる
上記の統計データを踏まえると、お父様の月20万円の年金受給額は、以下の点で「かなり高い水準」にあると評価できます。
- 国民年金のみの受給者と比較: 月約5万7700円の国民年金受給者と比較すると、3倍以上の金額であり、圧倒的に高い水準です。
- 厚生年金を含めた全体の平均と比較: 全体の平均である月約14万6429円と比べても、約5万3571円も上回っています。
- 男性の厚生年金平均と比較: 男性平均の月約16万9484円と比較しても、さらに約3万円多い金額です。
これらの比較から、月20万円の年金受給額は、国民年金のみの人と比べると圧倒的に高く、厚生年金を受け取っている人々の間でも平均を大きく上回る恵まれた水準にあると言えるでしょう。これは、現役時代の収入が比較的高く、厚生年金の加入期間が長かったことなどが背景にあると考えられます。
まとめ
親御様が受け取る「月20万円の年金」は、日本の公的年金制度の平均受給額と比較して、非常に高い水準にあることが分かりました。国民年金のみの受給者と比較すれば約3倍、厚生年金受給者全体の平均や男性平均と比較しても、それぞれ数万円高い金額です。これは、現役時代の収入や厚生年金への加入状況が良好であったことを示唆しています。自身の老後資金を考える上で、公的年金の仕組みと平均受給額を理解することは、将来の計画を立てる上で非常に重要です。
参考文献
- 厚生労働省:「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- (Original article linked to Yahoo News article which cited this source, so direct reference is appropriate for E-E-A-T)