三菱UFJ銀行の貸金庫から顧客の金塊や現金が盗まれた事件において、窃盗罪に問われている元行員の被告が、法廷での被告人質問で起訴内容を大幅に上回る規模の犯行を明かし、その衝撃的な動機が注目を集めています。この事件は、日本社会、特に金融業界における顧客信頼とセキュリティ体制に大きな波紋を広げています。
元行員・山崎被告の起訴内容と衝撃の新供述
元三菱UFJ銀行支店長代理の山崎由香理被告(46)は、2023年3月から昨年10月にかけて、自身が勤務していた二つの支店で、顧客の貸金庫に預けられていた現金約6,000万円と、約3億3,000万円相当の金塊を盗んだ罪で起訴されました。初公判で起訴内容を認めていた山崎被告は、本日行われた被告人質問で、自身の犯行規模についてさらなる詳細を語りました。
三菱UFJ銀行元行員による貸金庫窃盗事件、被告人質問で約17億円の被害を明かす
山崎被告は「100人ほどの貸金庫から、合計で17億円から18億円分を盗んだ」と供述。これは当初の起訴内容である約3億9,000万円を大幅に上回る金額であり、被害の甚大さを改めて浮き彫りにしました。長期間にわたり多数の顧客の資産が盗まれていた可能性が示唆され、銀行の貸金庫管理体制に対する懸念が高まっています。
犯行の動機と後悔の念
弁護側からの動機に関する質問に対し、山崎被告は「FXや競馬による多額の損失を穴埋めするためだった」と明かしました。ギャンブルを始めたきっかけについては、「最初は小遣い稼ぎのつもりで安易に始めてしまった」と語り、その軽率な判断が巨額の窃盗事件へと発展した経緯を説明しました。
被告は、被害に遭われた顧客に対して「このたびは誠に申し訳ありませんでした。ご迷惑をおかけし、心からお詫びします」と深く謝罪の意を表明しました。さらに、勤務していた三菱UFJ銀行に対しても「社会全体、そして金融業界に不信を招き、大変な事件を起こしてしまった。三菱UFJのブランドに傷をつけてしまったことを申し訳なく思います。私のような悪人一人で三菱UFJ銀行を悪く思わないで下さい」と述べ、自身の行動が与えた影響の大きさを悔いる姿勢を見せました。
結論
今回の山崎由香理被告の供述は、三菱UFJ銀行貸金庫窃盗事件の深刻さを改めて浮き彫りにしました。顧客の貴重な資産を預かる金融機関において、元行員による長期間にわたる大規模な不正行為がどのようにして可能であったのか、その全容解明と再発防止策が急務となります。この事件は、金融システムの信頼性維持に向けた厳しい問いかけとして、社会に重くのしかかっています。