韓国消費市場における日本製品の復活:「ノージャパン」から人気商品へ

かつて日本製品不買運動の象徴だった「ノージャパン」というスローガンが、今や韓国の消費市場から姿を消しつつあります。日本文化や商品に対する消費が回復基調を見せ、韓国の流通業界は日本ブランドとの協力や現地直送商品を通じて、その需要を積極的に取り込んでいます。以前は「不買」の対象だった日本製品が、現在では「人気商品」として再認識され、韓国の消費トレンドに大きな変化をもたらしています。

若年層が牽引する日本への好感度向上と消費回復

流通業界によると、2025年に入ってから韓国における日本への好感度が顕著に高まっており、業界はこの変化を新たな商機と捉えています。特に若い世代を中心に日本旅行や日本のサブカルチャー消費が急増しており、これが日本製品への関心をさらに高めています。この動きに対応し、コンビニ各社やファッションプラットフォームは日本直送商品を続々と発売。限定商品は即座に完売し、関連するポップアップストアには大勢の消費者が押し寄せるなど、その人気の高さが浮き彫りになっています。

コンビニ各社の日本直送商品戦略が成功

コンビニ大手GS25では今年、海外直送商品の売り上げが前年の2倍以上に増加し、1月から7月までの売り上げ成長率は119.5%に達しました。その売り上げ上位の多くを日本の食品が占めており、北海道特産の「北海道プリン」は発売直後に同社プリン売り上げの3位にランクイン。スプーン不要の「ときめきカフェ」もヒット商品となり、アサヒ、キリン、サッポロといった日本のビールも輸入酒類の売り上げ上位を独占し、中でもアサヒの缶ビールは今年、輸入ビール全体で1位を記録しています。

GS25の店舗で日本直送商品を買い物かごに入れる客。韓国の消費市場で日本製品の人気が高まっている様子を示す。GS25の店舗で日本直送商品を買い物かごに入れる客。韓国の消費市場で日本製品の人気が高まっている様子を示す。

菓子類も高い人気を誇り、北海道産ジャガイモを丸ごと焼き上げた「ナチュラルス まるごとポテト」シリーズは、発売直後から若者の間で話題となりました。さらに、「ドン・キホーテ」のポップアップストアでは、現地から仕入れた50種類以上の商品が開店前から行列を生み、累計来場者は3万人を突破する盛況ぶりを見せました。

セブンイレブンでは「ジャージーミルクプリン」が発売7カ月で150万個を売り上げ、日本のアルコール飲料「ストロングサワー」は累計販売300万缶を突破。日本の免税店で人気の「シュガーバターサンドツリー」も発売直後に完売しました。また、CUも「北海道スフレプリン」2種を単独輸入し、16万個限定のうち8月末時点で13万個以上が売れ、9月に追加輸入を決定するなど、各社が日本製品の需要を取り込むことに成功しています。

ファッション分野における日本サブカルチャーの台頭

ファッション分野でも日本のサブカルチャー人気が加速しています。韓国大手ファッションプラットフォーム「ムシンサ」は、今年に入り日本のストリートブランドとの契約を次々と締結しており、これは韓国の若者層における日本ファッションへの関心の高まりを明確に示しています。

背景にある対日認識の変化

こうした日本製品の消費回復の背景には、韓国社会における日本への意識の変化があります。最近の調査では、日本に好感を持つ韓国人の割合が過去最高水準に近づいており、特に20代では8割近くが日本に対して肯定的な認識を示しました。これは「ノージャパン」が日常化していた時期とは対照的であり、両国間の関係改善が消費行動にも影響を与えていると考えられます。

まとめと今後の展望

韓国の消費市場では「ノージャパン」運動が後退し、日本製品が再び大きな人気を集めています。若い世代を中心に日本文化への好感度が高まり、旅行先で体験した日本の食やファッションを国内でも楽しみたいという強い需要が生まれています。流通業界の関係者は「今後も“海外旅行必須アイテム”を韓国国内で手軽に入手できるよう、直送商品を拡充していく」とコメントしており、このトレンドは今後も継続・拡大していく見通しです。

参考文献

  • KOREA WAVE/AFPBB News