木更津市とナイジェリアの移民問題:市長と政府発表に食い違い

国際協力機構(JICA)がアフリカ諸国を対象とした「アフリカ・ホームタウン」に認定した千葉県木更津市が、一部で移民の移住先になるのではないかとの懸念が浮上しています。この問題に関し、木更津市の渡辺芳邦市長は25日、移民の受け入れや査証(ビザ)緩和については一切承知していないとするコメントを市のホームページで発表しました。しかし、ナイジェリア政府の発表内容とは依然として大きな食い違いが見られ、状況は複雑化しています。

木更津市長、移民受け入れと特別ビザ発給緩和を否定

渡辺市長は、SNSなどで報じられている「移住・移民の受け入れ」や「ナイジェリア国における特別就労ビザ等の発給要件緩和措置」といった事実は、市から要請したものではなく、また市として一切承知していないと強調しました。これらの報道内容を明確に否定する形です。

木更津市の渡辺芳邦市長が記者会見でナイジェリアからの移民受け入れに関する報道に言及木更津市の渡辺芳邦市長が記者会見でナイジェリアからの移民受け入れに関する報道に言及

市長は、木更津市が東京オリンピック・パラリンピックでナイジェリアのホストタウンであった関係で、JICAから「アフリカ・ホームタウン」の認定を受けたと説明。今回の事実関係については主催者であるJICAを通じて確認を進めており、JICA側に対し「アフリカ・ホームタウン」の趣旨を正確に説明するよう強く要請したと述べています。

ナイジェリア政府、日本からの「特別ビザ」創設を発表

一方で、ナイジェリア政府は木更津市長の発表とは異なる見解を示しています。ナイジェリア政府の発表によると、「新たなパートナーシップに基づき、日本政府は、木更津に移住して生活と就労を希望する、高度なスキルを持ち、革新的で才能のあるナイジェリアの若者向けに特別なビザカテゴリーを創設する」とされています。さらに、スキルアップを望むナイジェリア出身の職人やその他のブルーカラー労働者も、日本で働くための「特別許可ビザ」の恩恵を受けることになるとコメントしており、両者の主張には明確な齟齬が生じています。

ナイジェリアメディアが伝える木更津の魅力と日本での生活ルール

ナイジェリアの主要紙「パンチ」は、この特別ビザの創設に触れた上で、移住を検討している層や木更津市に興味を持つ人々に向けて、同地域の魅力を紹介しています。同紙は、「日本は世界で最も安全な国の一つとして知られている」と強調し、日本の治安の良さをアピール。また、日常生活の服装については「ジーンズ、シャツ、ジャケットなど、モダンでカジュアルなものになる傾向がある」と伝えています。

SNSで急拡散された、地域住民の懸念を示す「地域住民の人権は無視ですか?」というメッセージ画像SNSで急拡散された、地域住民の懸念を示す「地域住民の人権は無視ですか?」というメッセージ画像

さらに、結婚に関する日本の法的要件についても詳細に説明しています。日本で結婚が法的に認められるためには市役所での届出が必要であること、法定最低年齢は男女ともに18歳であること、そして日本の法律では重婚が認められていないことを明記。ナイジェリア国民が日本で結婚する際には、登録時に独身証明書の提示が必要であると指摘しています。これは、ナイジェリアの一部地域、特にイスラム教徒の間で重婚が認められている文化との違いを明確にするものです。

結論

木更津市がJICAの「アフリカ・ホームタウン」に認定されたことを巡る移民受け入れの可能性については、木更津市長とナイジェリア政府の間で情報が食い違っており、不確実性が残っています。この問題は、地方自治体の国際協力と、国際的な人材流動、そして国内の移民政策に関する議論を浮き彫りにしています。JICAからのさらなる明確な説明が待たれるとともに、関係各所からの正確な情報提供が、地域住民の懸念解消と国際理解促進のために不可欠です。

参考文献