データが示す日本の「離婚年齢」の実態:アラサー・アラフォー層に集中する背景とは

日本社会は、長きにわたり婚姻届の35%以上が離婚届として提出される「大離婚化社会」に直面しています。個々人が耐え忍ぶよりは健全な状況と言えるかもしれませんが、もし回避できるならそれに越したことはありません。実際、長期にわたる裁判に発展するケースも少なくなく、当事者にとっては大きな負担となることが指摘されています。

本稿では、こうした離婚の現実を正確なデータに基づいて深掘りし、その背景にある示唆を解説します。世間には「自己統計」に基づいた離婚年齢に関する誤解も少なくないため、客観的なデータが極めて重要となります。

日本の離婚年齢ランキングのデータを示したグラフ。30代前半の女性と30代後半の男性に離婚が多い傾向が視覚的にわかる。日本の離婚年齢ランキングのデータを示したグラフ。30代前半の女性と30代後半の男性に離婚が多い傾向が視覚的にわかる。

女性の離婚年齢:20代後半から30代前半が最多

まず、女性の離婚発生年齢について見ていきましょう。データによると、最も離婚が多い年齢層は27歳から33歳のいわゆる「アラサー年齢」に集中しています。特に、30代前半(30~34歳)が全体の15.9%(約2.1万件)を占め、最も多くの離婚がこの年代で発生しています。次いで20代後半と30代後半がそれぞれ約2.0万件と同水準で続きます。

このアラサー層だけで全離婚件数の30.8%を占め、さらに20代後半から30代全体で見ると、離婚の約半数(45.7%)に達するという驚くべき実態が明らかになっています。2020年国勢調査の結果が示すように、長引く少子化により人口構造が逆ピラミッド型に変化し、40代人口と比較して20代人口が大幅に減少していること、そして年齢が上がるにつれて婚姻割合が高まる傾向を考慮すると、アラサー世代の離婚がこれほど目立つのは特筆すべき点です。これは、結婚後の一定期間を経てから離婚に至るケースが多いことを示唆しています。

男性の離婚年齢:30代後半から40代前半が突出

次に、男性の離婚年齢の傾向を見てみましょう。女性とはやや異なるものの、男性においても特定の年齢層に離婚が集中する傾向が見られます。データ分析によると、男性の離婚は30代後半から40代前半に特に多く発生しています。

具体的には、1位が30代後半(35~39歳)で14.1%(約1.9万件)、2位が30代前半(30~34歳)で14.1%(約1.9万件)、そして3位が40代前半(40~44歳)で13.7%(約1.8万件)となっています。この結果は、婚姻割合や日本の人口構造を考慮しても、男性においては30代後半を中心に、働き盛りの世代で離婚が多発している現状を浮き彫りにしています。女性よりも若干高年齢層での離婚が多い傾向は、キャリア形成や家庭内での役割の変化など、男性特有の要因が影響している可能性も考えられます。

日本の「大離婚化社会」を理解するための正確なデータ

今回の分析から、日本の離婚年齢は、女性では20代後半から30代前半、男性では30代後半から40代前半に集中していることが明確になりました。これは、漠然とした印象や「自己統計」に基づく見解とは異なり、客観的なデータが示す確かな実態です。

「大離婚化社会」と呼ばれる現代日本において、こうした正確なデータは、離婚の実態を深く理解し、ひいては個人が結婚生活を考える上での参考や、社会全体の少子化対策、家族政策を立案する上でも不可欠な情報となります。離婚が避けられない状況は存在するものの、その背景にある要因をデータから読み解くことは、より良い社会を築くための第一歩と言えるでしょう。

参考文献