誰しもが生きていれば、悩みや不安が尽きない夜を経験するものです。特に、寝る前に嫌なことを思い出してしまい、なかなか寝付けないという状況は少なくありません。そんな心の状態に寄り添い、多くの人々の助けとなってきたのが、ベストセラー33万部を突破したシリーズの原点、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)です。ゲイとしてのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症といった、Tomy氏自身の苦難を乗り越えてたどり着いた、自分らしさに裏打ちされた言葉は、読者の心に深く響きます。この記事では、心が落ち込み、涙が止まらない夜や、イライラが募る夜に実践できる、精神科医Tomy氏が提唱する現実的な解決策を深掘りし、心の安定を取り戻すヒントをお届けします。
感情の波、その根源は「体調」にあり
泣きたくなったり、イライラしたりする夜に、まず試してほしいとTomy氏が提案するのは、意外にも「甘いものを食べる」ことです。さらに言えば、「ちゃんとご飯を食べる」という基本的な行動が極めて重要だと強調します。私たちは、なぜこんな気持ちになるのか、何が原因なのかと深く考え込みがちですが、そうすることでかえって気持ちが沈んでしまうこともあります。しかし、Tomy氏の経験上、そうした気分の不調の8割は「体調が悪い」ことに起因しているというのです。
夜の窓辺で物思いにふける人、心の不調を癒すヒント
たとえば、「泣きたくなる」「イライラする」といった感情は、睡眠不足や栄養不足といった身体的な不調から来ているケースが非常に多いものです。「今日はお昼をきちんと食べていなかったな」「最近、ダイエットを頑張りすぎているかも」「昨日体重が増えていたから、今日は食事を控えていた」といった背景があると、気分が沈んだり、些細なことでイライラしやすくなったりします。そして、不足していた食事をきちんと摂った後で、ふと気づくのです。「さっきまで泣きそうだったのに、今は何ともない」「なんであんなにイライラしていたんだろう?」と。このように、身体的なコンディションが心の状態に深く影響を与えていることは少なくありません。
「気持ちの問題」と決めつけない:体からのサインを見逃すな
私たち人間には、気分の問題を「気持ちの問題」として処理しようとする癖があります。「これは更年期かもしれない」「最近の私の生き方が間違っているのかな」「ちょっと弱っている私……」などと、自己分析を始めてしまいがちです。しかし、Tomy氏は、実はそうではないと指摘します。多くの場合、ただ単に体のコンディションが悪かっただけ、ということが本当に多いのです。心の不調を精神的な問題として捉えがちですが、その前に身体的な状態に目を向けることが、早期解決への鍵となります。食事が不規則だったり、十分な睡眠が取れていなかったりすると、心は予想以上に不安定になるものです。
特別なご褒美:アイスクリームの不思議な力
それでもつらいときは、Tomy氏が個人的に一番おすすめするのは、アイスクリームを食べることです。「今日はご褒美だ」と決めて、好きなアイスクリームをゆっくりと味わってみてください。不思議と気持ちが和らいでくるのを実感できるはずです。甘いものには、脳の働きを一時的に活性化させ、幸福感をもたらす作用があると言われています。この小さな「ご褒美」が、心にゆとりを与え、気分転換のきっかけとなることがあります。
感情を感情で解決せず、まず体を整える
人間の気分は、私たちが思っている以上に体の状態に左右されます。だからこそ、つらい夜には「食べる」「寝る」といった、人としての基本的な活動に立ち返ることが大切です。感情を感情だけで解決しようとせず、まずは体の声に耳を傾けてみてください。十分な栄養と休息が、心の安定を取り戻すための最もシンプルで効果的な手段となり得ます。
今回の記事では甘いものを食べるという解決策を提案しましたが、糖尿病を抱える患者さんなどは、この限りではありません。ご自身の健康状態に合わせて、専門家と相談の上、適切な方法を選択してください。
参考文献:
- 精神科医 Tomy. 『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』. ダイヤモンド社.