気象用語で「嵐雲」を意味する新型コロナウイルスの新たな変異株「ニンバス」が、現在日本列島を南から北へと不気味に広がりつつあります。この「嵐雲」が、今後2週間ほどで関東地方に到達し、全国的な感染のピークを迎える見通しが専門家から示されています。その感染状況、今後の予測について、最新情報と専門家の見解を詳報します。
新変異株「ニンバス」の現状と日本での感染動向
新型コロナウイルスの変異株の一種であると頭では理解しつつも、新しい名称を耳にするたびに警戒心を抱く方も少なくないでしょう。現在、日本で感染の波が広がりつつある新変異株「ニンバス」は、その動向が注目されています。
厚生労働省が8月15日に発表した報告によると、全国約3000カ所の定点医療機関から4〜10日の一週間に報告された新型コロナウイルスの感染者数は、1医療機関あたり平均6.13人でした。このデータからは、日本列島の南西方面、特に宮崎（14.71人）、鹿児島（13.46人）、佐賀（11.83人）といった九州地方で感染が顕著に拡大していることが見て取れます。
琉球大学名誉教授の藤田次郎医師は、沖縄県の状況について次のように語ります。「沖縄県では、5月から6月にかけて定点医療機関あたりのニンバス患者数が約20人に達しピークを迎えましたが、8月現在では約半数の10人ほどに減少しています。これは、沖縄におけるニンバスの感染者数がすでにピークアウトしている状況を示唆しています。」
新型コロナ変異株ニンバスに関連するオミクロン株の電子顕微鏡写真（国立感染症研究所提供）
九州から関東へ：全国的なピーク到来の予測
現在、宮崎や鹿児島などの九州地方で感染者数が多くなっている現象について、藤田医師は「沖縄から直行便が多く、アクセスの良い地域へと、南から感染の波が広がってきた結果だと考えられます」と分析しています。さらに、今後の感染拡大について、「今後感染拡大が予想される東京都をはじめとする全国各地の感染状況は、沖縄県との距離に応じたタイムラグがありながらも、おおむね2〜3週間で沖縄県と同じようなカーブを描き、次第にピークアウトしていくでしょう」と予測しています。
宮崎県新興感染症医療コーディネーターの佐藤圭創氏も、この見解を裏付ける形で次のように述べています。「宮崎は今、まさに感染者数がピークを迎えています。例年の統計から予測すると、2週間後には関東なども含め、全国的なピークに向かっていくと思われます。ピーク時の感染者は若年層に多く見られ、感染症は活発に活動する若い層から広がることが特徴です。そこから若い世代の父母層へ、さらに高齢者へと感染が移行していきます。」
また、ニンバス株の感染割合についても佐藤氏は言及しており、「1カ月前、宮崎での感染者に占めるニンバス株の割合は半分程度でしたが、現在ではニンバスとその関連株を含めるとほぼ100％に達しています」と、その急速な置き換わりを指摘しています。
結論
新型コロナウイルスの新変異株「ニンバス」は、日本国内で南から北へと着実に感染を広げており、特に九州地方で現状ピークを迎えています。専門家の予測では、今後2週間程度で関東を含む全国的なピークに達する可能性が高いとされています。感染はまず活動的な若年層で広がり、その後、中高年層や高齢者へと波及する傾向が見られます。私たちは、この感染拡大の動向を注視し、引き続き感染予防対策を徹底することが重要です。
