マクロン仏大統領、プーチン氏の「トランプ氏利用」を警告 – 対ロ制裁強化を要求

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は29日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との首脳会談に応じない場合、ドナルド・トランプ米大統領を「手玉に取った」ことになると強く警告しました。マクロン大統領は、この重要な首脳会談の実現を期待する一方で、ロシアに対する新たな「一次制裁および二次制裁」の導入を通じて圧力を強める姿勢を示しており、欧州の安全保障に対する揺るぎないコミットメントを強調しています。

プーチン氏の「誠実さ」への疑義と制裁要求

マクロン大統領は、南フランスでドイツのフリードリヒ・メルツ首相と会談後、週末にトランプ氏との電話会談を行う予定であることを明らかにしました。彼は、もしプーチン氏が9月1日の期限までにゼレンスキー大統領との会談に応じなければ、「プーチン氏がトランプ氏を再び利用したことを示すことになる」と述べ、「われわれ全員にとって良いことではなく、座して見過ごすわけにはいかない」と主張しました。フランスは、ロシアを交渉のテーブルに着かせるため、ロシア産原油などを購入する第三国への制裁を含む新たな国際制裁の導入を強く求めています。

2025年8月29日、フランス南東部トゥーロンでの仏独閣僚会議後、共同記者会見に臨むエマニュエル・マクロン仏大統領。2025年8月29日、フランス南東部トゥーロンでの仏独閣僚会議後、共同記者会見に臨むエマニュエル・マクロン仏大統領。

「門前の人食い鬼」発言の真意

マクロン大統領は、今月初めにプーチン氏を「門前の人食い鬼(オーガ)」と表現し、ロシアの反発を招いたことについて一切後悔の念を示しませんでした。彼はこの発言の背景には、2008年の南オセチア侵攻後のジョージア(グルジア)やウクライナなど、ロシアと国境を接する多くの国々が抱える心の底からの懸念があると説明。「プーチン氏は権威主義的な道を歩み、帝国主義を押し付けることで国境を引き直そうと決意した男だ」と述べ、ロシアの行動が欧州の安定を脅かすものであるとの認識を改めて示しました。

言行不一致を指摘されるプーチン大統領

また、ロシアが28日にウクライナの首都キーウに対して無人機とミサイルによる攻撃を仕掛け、死傷者を出したことを受け、マクロン大統領はプーチン氏の「言行不一致」の癖を指摘しました。彼は、「プーチン大統領の国際会議での立場と現場の現実との乖離は、彼がいかに不誠実であるかを示している」と述べ、国際社会におけるプーチン氏の発言と実際の行動との隔たりが、信頼性の欠如を露呈していると批判しました。

結論:国際社会の圧力強化の必要性

マクロン仏大統領の発言は、ウクライナ情勢を巡る国際的な緊張が高まる中で、欧州主要国がロシアに対し一貫して強硬な姿勢を維持していく決意を示しています。プーチン・ゼレンスキー両大統領による首脳会談の実現が不透明な状況下で、フランスは米国との連携を模索しつつ、ロシアへの経済的・政治的圧力をさらに強化することで、和平に向けた具体的な進展を促すことを目指しています。国際社会は、プーチン大統領の言動とその裏にある意図を厳しく注視していく必要があるでしょう。

【出典】 AFPBB News