スヌープ・ドッグ、ピクサー映画『バズ・ライトイヤー』LGBTQ描写への発言が物議──クリス・エヴァンスは批判を一蹴

ラッパーのスヌープ・ドッグが、子供向け映画におけるLGBTQ+描写に関する自身の発言で広範な批判を浴びています。この問題は、2022年に公開されたディズニー・ピクサー映画『バズ・ライトイヤー』を巡るもので、エンターテイメントにおける多様な表現と、それに対する社会的受容のあり方について世界的な議論を再燃させています。

子供向け映画を家族で鑑賞する様子。スヌープ・ドッグは孫と『バズ・ライトイヤー』を観た際の体験を語った。子供向け映画を家族で鑑賞する様子。スヌープ・ドッグは孫と『バズ・ライトイヤー』を観た際の体験を語った。

『バズ・ライトイヤー』が描いた同性カップルと保守派からの反発

問題のきっかけとなったのは、『トイ・ストーリー』シリーズのスピンオフ作品である『バズ・ライトイヤー』です。この映画には、同性カップルが子供を育て、キスをするシーンが含まれていました。この描写は、公開当初から一部の保守派層からの強い批判を引き起こし、その結果、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、レバノン、インドネシア、マレーシア、エジプト、クウェートといった複数の国々で上映が禁止される事態となりました。これは、国際社会における性的指向の多様性に対する価値観の違いを浮き彫りにする出来事となりました。

スヌープ・ドッグのポッドキャストでの発言内容

スヌープ・ドッグは8月20日に出演したポッドキャスト「It’s Giving」の中で、孫と一緒に『バズ・ライトイヤー』を観た際の体験を詳細に語りました。彼は、映画に登場する同性カップルについて孫から「『パパ・スヌープ、あの女の人、どうやって女の人と赤ちゃんを作ったの? 彼女も女の人でしょ?』って聞かれたんだ」と質問されたことを明かしました。この問いに対し、スヌープ・ドッグは「こんなもん観に来たんじゃねえよ」「ただクソ映画を観に来ただけだったんだよ」と述べ、子供向けの作品で予期せぬ社会的・性的テーマに直面したことへの困惑と不満を露わにしました。さらに彼は、「もう映画を観に行くのが怖い」「答えようのない問題の真ん中に、勝手に俺を巻き込むなよ」とも語り、自身の戸惑いを強調しました。

議論の波紋とクリス・エヴァンスによる反論

スヌープ・ドッグの一連の発言はすぐに波紋を広げ、オーストラリアのニュースメディア『9 News Australia』は、彼が予定しているオーストラリアン・フットボール・リーグ(AFL)グランドファイナルでのパフォーマンスを中止すべきだとの声が上がっていると報じました。

一方で、『バズ・ライトイヤー』で主人公バズの声を務めた俳優クリス・エヴァンスは、同性カップル描写への批判に対して以前から強い反論の姿勢を示しています。2022年のロイター・テレビのインタビューで、エヴァンスは「正直言って、ああいう批判をする連中はバカだ」と断言しました。彼は続けて、「アメリカの歴史、ひいては人類の歴史は、目覚めと成長の繰り返しだ。それがあるからこそ、僕たちは前に進めるんだ」と述べ、社会の進化と多様性の受容の重要性を強調しました。さらに、「世の中にはいつだって、変化を恐れ、過去にしがみつこうとする人たちがいる。でもそういう人間は恐竜と同じで、いずれ消えていく。だからこそ、気にせず前に進んで、人間としての成長を受け入れることが大事なんだ」と語り、変化を拒む人々への厳しい見解を示しました。

まとめ

スヌープ・ドッグの発言とそれに対する反響、そしてクリス・エヴァンスの明確な擁護は、『バズ・ライトイヤー』におけるLGBTQ+描写が、単なる映画のシーンに留まらず、広範な社会的議論の対象となっていることを示しています。子供向けコンテンツにおける多様な家族構成や性的指向の表現は、文化や価値観の違いによって意見が分かれ、エンターテイメント業界と視聴者の間で継続的な対話を促す重要なテーマであり続けています。