第200臨時国会は9日、当初の予定通り67日間で幕を閉じた。日米貿易協定承認などの成果もあったが、15年超の政治部記者経験を振り返っても、これだけ実りの少ない国会は珍しい。
会期中の11月20日、安倍晋三首相は通算在職記録が歴代単独1位となった。再登板以降だけでも間もなく7年を迎える。安定した政権は腰を据えて政策に取り組むことができ、外交をはじめ利点が多い。
しかし、裏を返せば、結果的に立憲民主党などの野党が長期政権を許しているとも言える。「野党が最大の安倍応援団」と揶揄(やゆ)されるゆえんだ。
臨時国会も野党の低調ぶりが目立った。10月4日の召集当初は関西電力幹部らへの現金授受問題が「最大のテーマ」(立民の枝野幸男代表)と意気込んでいた。だが、舌の根も乾かぬうちに、辞任した菅原一秀前経済産業相と河井克行前法相の任命責任→大学入学共通テストの英語民間試験導入→国会質問の漏洩(ろうえい)と次々と焦点を移した。
野党にすれば、それだけ安倍政権の問題が多いということだろう。菅原、河井両氏が説明責任を果たさずに「雲隠れ」を続けているのは言語道断であり、政府が英語の民間試験導入を見送ったことは野党の一定の成果かもしれない。だからといって、首相が退陣しなければいけないほどの問題でもない。