米、ウクライナへパトリオットとスターリンク売却承認 – ロシア侵攻への支援強化

トランプ米政権は29日、ロシアの侵略を受けるウクライナに対し、衛星通信機器や米防空システム「パトリオット」の関連装備の売却を承認し、議会に通知したと発表しました。この総額は3億2910万ドル(約480億円)規模に上ります。前日には、ロシア領への攻撃が可能なミサイル「拡張射程攻撃弾(ERAM)」の売却も承認されており、米国はウクライナへの軍事支援を継続的に強化しています。

ウクライナ防空体制と通信網の強化

米国務省によると、今回の支援にはパトリオットを巡る予備部品、ソフトウェアの更新、保守支援などが1億7910万ドル相当含まれます。パトリオットは、ロシア軍のミサイル攻撃などからウクライナの重要施設を守る上で不可欠な装備であり、この売却は同国の防空体制の維持を支援することを目的としています。

また、米国の衛星通信網「スターリンク」の端末利用継続に向けたサービスや関連機器など1億5000万ドル相当も売却されます。スターリンクは、ロシア軍によるインフラ攻撃でウクライナの通信網が大きな打撃を受ける中、ウクライナ軍の作戦遂行を支える上で極めて重要な役割を果たしています。これらのパトリオットや衛星通信関連の装備は、ウクライナが防衛を継続するために不可欠なものであり、トランプ政権は対外有償軍事援助(FMS)として売却することで、同国の防衛支援を一層強化する姿勢を示しています。

米国の地対空ミサイルシステム「パトリオット」のミサイル発射機(資料写真)米国の地対空ミサイルシステム「パトリオット」のミサイル発射機(資料写真)

攻撃能力向上への寄与:ERAMミサイル

さらに、トランプ政権は28日にも、射程240~450キロとされるERAMミサイル3350発などのウクライナへの売却を承認しています。このミサイルは、ロシア領への攻撃が可能であるとされており、ウクライナの攻撃能力を向上させる上で重要な意味を持ちます。

ウクライナ兵士が使用する衛星通信機器「スターリンク」の端末(資料写真)ウクライナ兵士が使用する衛星通信機器「スターリンク」の端末(資料写真)

和平交渉への影響とデンマークへの売却

トランプ大統領は、ロシアとウクライナの和平実現に向けて両国の首脳会談を仲介する意向を示していますが、プーチン露大統領はまだこれに応じていません。一連の対ウクライナ軍事支援は、プーチン氏に和平を促す圧力となり得ますが、その効果がどの程度あるかは依然として不透明です。また、トランプ政権は29日、デンマークに対するパトリオットの売却も承認し、議会に通知しました。こちらの総額は関連装備を含めて85億ドル(約1兆2500億円)規模となります。

結論

米国によるウクライナへのパトリオット、スターリンク、ERAMミサイルなどの戦略的軍事支援は、防空能力、通信網、そして攻撃能力の各面でウクライナの防衛態勢を大幅に強化するものです。これは、ロシアによる侵攻が続く中でウクライナの自衛力を高め、和平交渉への圧力を強める狙いがあると見られます。同時に、NATO加盟国であるデンマークへのパトリオット売却は、欧州全体の安全保障強化へのコミットメントも示しています。

参考資料