ロシアのプーチン大統領が本日午前、中国に到着しました。今回の訪中では、上海協力機構(SCO)の首脳会議への出席に加え、抗日戦争勝利80周年を記念する軍事パレードにも参加する予定です。国際社会がウクライナ侵攻を巡るロシアの動向に注目する中、プーチン大統領の中国訪問は、両国の関係強化と国際舞台におけるロシアの孤立回避をアピールする重要な機会と位置付けられています。
プーチン大統領の中国訪問:主要日程と首脳会談
プーチン大統領は、9月3日に北京で開催される抗日戦争勝利80周年記念軍事パレードに出席する予定です。この記念行事は、ロシアと中国が歴史的な連携を強調する場となります。また、訪問期間中には、中国の習近平国家主席との首脳会談も予定されており、両国間の協力関係の深化について協議される見通しです。この会談は、現在の複雑な国際情勢下における中露関係の方向性を決定づけるものとして、世界中から注目されています。
上海協力機構首脳会議に出席するため中国に到着したプーチン大統領
「戦勝国」としての立場強調と日欧批判
訪問に先立ち、プーチン大統領は中国国営の新華社通信の書面インタビューに応じました。このインタビューで大統領は、今年の訪中が「祖国の戦争勝利80年の節目であり、ロシアと中国の関係発展にとって象徴的な意義を持つ」と述べ、両国が歴史的な戦勝国としての立場を共有していることを強調しました。さらに、大統領は「両国の国民は侵略者との戦いで多大な犠牲を払い、ナチズムと軍国主義を打ち破る過程で決定的な役割を果たした」と主張し、第二次世界大戦におけるロシアと中国の貢献を改めて強調しました。
その上で、プーチン大統領は「虚構の『ロシア・中国脅威論』を口実にして日本では軍国主義が復活しつつあり欧州諸国は再軍備路線を歩みつつある」と述べ、日本やヨーロッパ諸国を名指しで批判しました。これは、ロシアが西側諸国の動きを、国際的な安全保障への脅威として認識していることを示唆しています。
上海協力機構の意義と国際社会へのアピール
プーチン大統領はまた、上海協力機構について「より公正で多極的な世界秩序をつくるために貢献している」とその意義を強調しました。これは、ロシアが国際社会における既存の一極集中型秩序ではなく、多極化された新たな世界秩序の構築を目指しているというメッセージです。
ウクライナへの侵攻が長期化する中、ロシアは国際社会からの孤立を深めているとされていますが、今回の中国訪問と上海協力機構の会議を通じて、ロシアは中国との強固な連携を示すことで、国際社会において自国が孤立していないことをアピールする狙いがあります。
結論
プーチン大統領の今回の中国訪問は、単なる二国間会談に留まらず、国際政治におけるロシアの立場を再定義し、新たな世界秩序構築に向けた戦略的な動きとして深く分析されるべきものです。抗日戦争勝利80周年記念パレードへの参加、習近平国家主席との会談、そして上海協力機構の場での発言は、ロシアが中国との関係を強化し、多極的な国際社会の形成において主導的な役割を果たそうとする意図を鮮明に示しています。特に、日本やヨーロッパに対する批判は、国際的な緊張関係の複雑さを改めて浮き彫りにしています。
参照元
- TBS NEWS DIG Powered by JNN(Yahoo!ニュース)
https://news.yahoo.co.jp/articles/71043f3c1ab722ed434161a8b9da35e6b5881961