フランス南東部の都市リヨンで、ホロコースト記念碑に「フリーガザ」という落書きがなされたことが明らかになり、フランス国内で反ユダヤ主義的憎悪犯罪が増加しているとの懸念が改めて高まっています。この事件は、近年特にイスラエルとハマスの紛争以降、深刻化している社会問題の一端を浮き彫りにしています。
フランス南東部リヨンに位置するホロコースト記念碑の黒い大理石プレートに刻まれた「フリーガザ」の落書き
落書きの詳細と市当局の断固たる反応
リヨン市当局がAFP通信に提供した写真によると、記念碑の黒い大理石のプレートには、鋭利な道具で刻まれたとみられる「フリーガザ」の文字がはっきりと残されていました。この行為に対し、グレゴリー・ドゥセ・リヨン市長は声明で「リヨンのホロコースト記念碑に対する破壊行為は容認できない」と強く非難しました。市長は記憶協会、生存者、そしてその子孫たちへの連帯を表明し、「実行犯は追跡され、起訴されるだろう。リヨンは憎悪、反ユダヤ主義、人種差別に断固として立ち向かう」と付け加え、毅然とした対応を取る姿勢を示しました。
反ユダヤ主義行為としての位置づけと迅速な修復
リヨン中心部に位置するこのホロコースト記念碑は、アウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所の解放80周年を記念し、2025年1月に公開されたばかりでした。市職員はAFPに対し、今回の落書きが「ホロコースト記念碑に刻まれたことは、明らかに反ユダヤ主義的行為に当たる」との見解を示しています。落書きは迅速に除去され、記念碑は修復されたとのことです。この迅速な対応は、市がこの種の行為をいかに深刻に受け止めているかを示しています。
フランスにおける反ユダヤ主義的行為の増加傾向
フランスでは2023年10月に発生したハマスによるイスラエル攻撃以降、そしてその後のイスラエルによるガザ空爆・封鎖を背景に、反ユダヤ主義的憎悪犯罪の増加に対する懸念が高まっています。フランス内務省の統計によると、2025年上半期には国内で646件の反ユダヤ主義的行為が記録されました。これは前年同期比で27%減少したものの、2023年同時期比では112%の大幅増となっており、過去数年間の状況と比較して深刻な事態であることがうかがえます。このような事件は、歴史の記憶と現在の国際情勢が複雑に絡み合い、社会に新たな緊張をもたらしていることを示しています。
参考文献:
- AFPBB News (2025年8月31日). 「リヨン・ホロコースト記念碑に「フリーガザ」落書き、仏の反ユダヤ主義高まる懸念」. Yahoo!ニュース.
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