森山幹事長、参院選大敗の責任をとり辞意表明:石破首相の動向と臨時総裁選の行方

自民党は9月2日午後、参議院選挙での大敗北を招いた要因を分析した総括文書を取りまとめ、両院議員総会を開催しました。この重要な会合に先立ち、政権の要である森山裕幹事長が辞意を表明。7月の参院選での責任を明確にする形となりました。石破茂首相は森山氏の辞表に対し「適切に判断する」と述べつつ、自身の進退については「しかるべき時期に決断する」と説明を避けています。今後の焦点は、臨時総裁選の実施を求める声が高まる中、9月8日を期限とする議員・党員による前倒し判断へと移っています。

森山幹事長、参院選敗北の責任を取り辞意表明

自民党の森山裕幹事長は2日午後、7月の参議院選挙の総括が終了したこの日、党総裁である石破茂首相に対し「進退を預ける」と説明し、辞意を表明しました。参院選での大敗北の責任を負う形です。森山氏は、辞任が受領された場合でも、後任が決まるまでは幹事長職に留まる見通しを示しました。しかし、石破首相が慰留した場合の対応については明言を避けています。政権運営において重要な役割を担ってきた森山氏の辞任は、今後の政権運営に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。

石破首相、「適切に判断」、自身の責任は「しかるべき時期に」

同日夕方、石破茂首相は官邸で記者団の取材に応じ、森山幹事長の辞表について「適切に判断する」と述べました。その上で、石破政権がこれまで継続できたのは、森山氏が党内外での取りまとめや交渉において多大な貢献をしてきたからだと評価し、「余人をもって代えがたい方だと今でも思っている」と、森山氏の功績を称えました。自身の責任については「しかるべき時期に判断する」と説明しましたが、具体的な時期については明言を避け、今後の動向が注目されます。

参院選大敗の責任が問われる中、自民党両院議員総会での石破茂首相参院選大敗の責任が問われる中、自民党両院議員総会での石破茂首相

自民党参院選敗因の総括文書と「党再生への誓い」

自民党は2日、参院選の敗因を総括した文書を取りまとめ、その後、両院議員総会を開きました。総会の冒頭で石破首相は、敗北について改めて陳謝し、「地位にしがみつくつもりは全くない」と述べ、自身の責任から逃れることなく「しかるべき時にきちんとした決断をする」と表明しました。「多くの同志を失ったことはひとえに私の責任だ」と責任を痛感する一方で、「(日米の)関税交渉はきちんと道筋をつけないといけない」と、政権としての喫緊の課題にも言及しました。

ロイターが入手した総括文書では、参院選敗北の「主な要因」として、以下の4項目を列挙しています。

  1. 内閣支持率の低下が党の基礎体力を弱めたこと。
  2. 若年層・現役世代と一部保守層の流出を招いたこと。

さらに、「党離れを招いたと考えられる経緯と要因」として、9項目が挙げられています。

  1. 物価高対策が国民に届かず、争点設定も不発に終わったこと。
  2. 「政治とカネ」を巡る不祥事により、信頼が失われたこと。
  3. 発信力が弱く、デジタル対応に遅れを取ったこと。

文書の最後には、「党再生への誓い」として、「何よりも優先すべきは国民生活に影響を及ぼさないよう、政策を遅滞なく実現させること」であると明記。また、「党の一致結束が何よりも重要」と強調し、「国民から突きつけられた『現状からの脱却』という至上命題を真摯に受け止め、党を一から作り直す覚悟で解党的出直しに取り組む」と結んでいます。

総会で森山裕幹事長も、参院選の敗因について「わが党として国民に寄り添い、暮らしの安心を確実に届けることができなかったことに尽きる。執行部に身を置く者として責任を痛感している」と陳謝し、党として一致結束して国民の信頼を取り戻す重要性を訴えました。

出席した片山さつき元地方創生担当相は、総括の内容が「総じてバランスが取れていた」と評価し、石破総裁の「地位に恋々しない。しかるべき時に判断する」という発言は「多くの方が評価すると言っていたし、私もいいと思う」と指摘しました。

臨時総裁選の動向と今後の自民党

自民党は、総括文書の取りまとめを受け、臨時総裁選の実施の是非を問う国会議員・都道府県連代表への意思確認手続きに入ります。自民党総裁選管理委員会は8月27日、国会議員や都道府県連代表が臨時総裁選を要求する場合、書面での提出を求め、その提出期限を9月8日と定めています。臨時総裁選の実施には、過半数である172名以上の要求が必要とされており、今後の党内の動きが注目されます。

結論

森山裕幹事長の辞意表明は、自民党が参院選大敗の責任を内外に示す重要な一歩となります。石破茂首相のリーダーシップが問われる中、自身の責任の取り方と、森山氏の後任人事が喫緊の課題です。また、党内から高まる臨時総裁選への要求は、自民党の今後の方向性を大きく左右する可能性があります。総括文書で示された「党再生への誓い」を実現するためには、党の一致結束と、国民の信頼を取り戻すための具体的な政策実行が不可欠となるでしょう。

参考文献