中国は3日、日本との戦争に勝利した「抗日戦争勝利80周年」を記念する大規模な軍事パレードを北京で開催しました。この重要な国際行事には20カ国以上が出席する中、特に注目を集めたのは、中国の習近平国家主席、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、そして北朝鮮の金正恩総書記という3カ国のトップが初めて一堂に会したことです。彼らは終始、親密な関係をアピールし、国際社会に向けて強い結束を示す機会となりました。
中露朝トップが初の顔合わせ、親密ぶりを誇示
世界に見せつけるかのように、肩を並べて天安門広場を歩く習近平国家主席、プーチン大統領、金正恩総書記。この歴史的な瞬間に、彼らの間では和やかな会話が交わされていました。習主席は金総書記に対し「会えたの、久しぶりですね」と語りかけ、通訳を介して金総書記は「6年ぶりの再会ですよ」と応じました。習主席はさらに「こんなに有意義な…」と喜びを表現。また、プーチン大統領の発言を伝えるロシア側の通訳からは、「生きながら若くなる。不老不死になるかもしれないし」といった冗談めいた言葉も聞かれ、トップ同士の親密な雰囲気を際立たせました。
中国は、今回の記念軍事パレードを通じて、自国の軍事力と国際的な影響力を強調しました。北京の天安門に3人が並び立つ中、中心に立つ習主席は、リーダーとしての存在感を強くアピールしているように見えました。演説では「世界一流の軍隊の建設を加速し、中華民族の偉大な復興を実現するための戦略的支えとする」と述べ、国防力強化への決意を表明。パレードが始まると、習主席は席に戻り、プーチン大統領と笑顔で言葉を交わす姿が報じられました。さらに、最新兵器が登場する際には、習主席が金総書記にその性能について説明しているような様子も見受けられ、両国間の軍事協力への関心も示唆されました。
中国の抗日戦争勝利記念軍事パレードで、笑顔で並び歩く習近平国家主席、プーチン大統領、金正恩総書記。
金総書記の娘「ジュエ氏」が海外デビューか
軍事パレードの前日、金正恩総書記は2日午後に北京に到着しました。そのすぐ後ろには、娘である「ジュエ氏」とされる少女の姿がありました。約2年半前に比べ、金総書記の肩ほどだった身長が、現在約170センチと推定される金総書記とほぼ同じ高さにまで成長していることが注目されました。
今回が“海外デビュー”とみられるジュエ氏の登場は、国際社会、特に日本のメディアでも大きな関心を集めました。4日にも行われると見込まれている習主席との首脳会談に、ジュエ氏が同席するかどうかも注目の的となっています。これは、北朝鮮の次世代指導体制や、金総書記の国際的なイメージ戦略において、ジュエ氏が今後どのような役割を担うのかという憶測を呼んでいます。
北京で金正恩総書記に同行する、身長が伸びた娘のジュエ氏とされる人物の姿。
厳戒態勢下の北京、市民の反応と首脳会談
一方、軍事パレードの会場周辺は厳戒態勢が敷かれました。北京市内では、交通規制のため多くの通りが封鎖され、一般人の通行が厳しく制限されました。バイクや自転車の専用道路でも、大規模な渋滞が発生するなど、市民生活に影響が及びました。
しかし、会場周辺に集まった市民たちは、スマートフォンでパレードの中継を鑑賞し、上空を航空機が飛ぶたびに大きな歓声を上げていました。ある市民は「祖国がこんなに強大なんだと実感して、とても誇らしい気持ちになりました」と語り、自国の軍事力と国際的な地位向上に対する強い誇りを示しました。
パレード終了後、カメラは再び3人のトップの姿を捉えました。習主席は両隣を見渡し、まずプーチン大統領と固く握手を交わしました。その間、手持ち無沙汰な様子の金総書記でしたが、握手を求められると両手で応じ、和やかな雰囲気を維持しました。
3日午後、プーチン大統領と会談した金総書記は、今後もロシアを支援する姿勢を表明しました。この会談は、ウクライナ侵攻を続けるロシアと、核・ミサイル開発を進める北朝鮮、そして経済・軍事大国である中国との間で、戦略的な連携がより一層強化される可能性を示唆しており、今後の国際情勢に大きな影響を与えるものとみられています。
出典: 「イット!」2025年9月3日放送より (FNNプライムオンライン)