ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は3日、和平合意が成立しない場合、ウクライナ侵攻を継続する意向を表明しました。この発言は、ドナルド・トランプ米大統領が先月、プーチン氏とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とそれぞれ会談し、積極的な外交努力を展開したにもかかわらず、3年半に及ぶ紛争解決への道筋が依然として見えない中で出されたものです。プーチン大統領の強硬な姿勢は、ウクライナ情勢の膠着状態を浮き彫りにしています。
ロシア、ウクライナ侵攻継続の姿勢を強調
プーチン大統領は、「希望の光が見えてきた」との認識を示しつつも、戦闘継続を明確に表明し、ロシア軍が「あらゆる戦線で前進している」と主張しました。訪中日程を終えて北京で記者会見した際、和平合意の見通しについて問われると、「事態の推移を見守る必要がある。成立しなければ、われわれは全ての課題を軍事的に解決せざるを得ない」と述べ、軍事行動の選択肢を放棄しない姿勢を改めて強調しました。この発言は、ロシアが依然として軍事的な圧力によって自らの目標を達成しようとしていることを示唆しています。
ゼレンスキー大統領との会談、プーチン氏が正統性に疑問
プーチン大統領は、ゼレンスキー大統領との直接会談を即時実施する可能性を改めて否定し、ゼレンスキー氏の正統性に疑問を呈する発言を繰り返しました。彼は、ゼレンスキー氏が会談を望むのであればモスクワに来るよう招待したと主張し、「ドナルド(・トランプ米大統領)に(ゼレンスキー氏との)会談を要請されたので、私は『もちろん可能だ。ゼレンスキー氏をモスクワに来させよう』と答えた」と語りました。しかし、ある情報筋は8月、ゼレンスキー氏がモスクワでの首脳会談開催提案を拒否したと述べています。プーチン氏はまた、「代表団のレベルを上げる必要があるなら、われわれは準備ができている」と述べ、ウクライナとの和平交渉により高位の代表団を派遣する用意があることを示唆しましたが、具体的な人物については言及を避けました。
北京の釣魚台国賓館でシャバズ・シャリフ首相との会談に向かうプーチン露大統領
ウクライナ東部への攻撃激化と民間人犠牲
ロシアは3日早朝、ウクライナに向けて500機以上の無人機を発射し、その後、ウクライナ東部の最前線の町にも砲撃を実施しました。これらの攻撃により、民間人9人が殺害されるなど、多数の犠牲者が出ています。ロシアによるこうした軍事行動の激化は、プーチン大統領の「軍事的に解決せざるを得ない」との発言と連動しており、ウクライナ国内での人道危機が一層深まる懸念が高まっています。国際社会の外交努力にもかかわらず、ウクライナ紛争は依然として軍事衝突が中心の状況にあります。
結論
プーチン大統領の一連の発言は、ウクライナ紛争の解決が依然として困難な状況にあることを明確に示しています。和平合意が成立しない限り軍事行動を継続するというロシアの強硬な姿勢、ゼレンスキー大統領の正統性を巡る問題提起、そしてウクライナ東部への無人機および砲撃攻撃の激化は、紛争が長期化し、さらなる犠牲者を生む可能性を強く示唆しています。国際社会による外交努力の継続と、事態の推移が注視されます。