プーチン大統領、ウクライナへの西側部隊派遣を「正当な攻撃標的」と警告

ロシアのプーチン大統領は9月5日、ウクライナに派遣されるいかなる西側諸国の部隊も、ロシアにとって正当な攻撃標的となると明確に警告した。これは、フランスのマクロン大統領が、ロシアとの和平合意が成立した場合に26カ国がウクライナへの部隊派遣を検討していると表明した矢先の出来事であり、国際社会に大きな波紋を広げている。

マクロン大統領の提案とプーチン氏の警告

プーチン大統領はウラジオストクで開催された経済フォーラムで、「もし何らかの部隊がウクライナに、特に軍事作戦の最中である今、現れるなら、われわれはこれを破壊すべき正当な標的となると考える」と述べ、西側諸国の介入に対する断固たる姿勢を示した。この発言は、ウクライナにおける紛争の激化と国際的な緊張の高まりを浮き彫りにしている。

ウラジオストクで開催された経済フォーラムで演説するロシアのプーチン大統領。ウクライナへの西側部隊派遣について警告を発した。(2024年9月4日撮影)ウラジオストクで開催された経済フォーラムで演説するロシアのプーチン大統領。ウクライナへの西側部隊派遣について警告を発した。(2024年9月4日撮影)

「長期的な平和」と安全保障への言及

プーチン氏はまた、「もし平和、長期的な平和につながる決定が下されるのであれば、彼らがウクライナ領内に駐留する意味は全くない」と付け加えた。安全保障については、ロシアとウクライナの双方に対して設ける必要があると主張し、「改めて繰り返すが、ロシアは当然これらの合意を履行する。しかし、いまだに誰もこの問題について、われわれと真剣なレベルで議論していない」と、対話の欠如を指摘した。

ゼレンスキー大統領との会談提案とその見解

ウクライナのゼレンスキー大統領が求めているプーチン氏との直接会談について、プーチン氏は「主要な問題でウクライナ側と合意に達するのは事実上不可能だろう」として、そのような会談にはあまり意味がないとの見解を示した。一方で、ゼレンスキー氏のモスクワ訪問を改めて提案し、「準備はできているので来てほしい。われわれは間違いなく(会談のための)作業環境と安全を提供する。100%の保証する」と述べた。しかし、ウクライナ側がモスクワ以外での会談を求めるのは「過剰な要求」だとして退けた。

ゼレンスキー大統領の反応

これに対し、ゼレンスキー大統領は5日、モスクワでの会談の可能性については直接言及せず、「われわれはいかなる会談にも準備ができている。しかし、プーチンがこの戦争を終わらせる準備ができているようには見えない。彼は話すことはできるが、それは単なる言葉に過ぎず、誰も彼の言葉を信用していない」と述べ、プーチン氏の発言に対する不信感をあらわにした。

結論

プーチン大統領の今回の声明は、ウクライナ紛争における西側諸国の潜在的な関与に対するロシアの明確な警告であり、事態のさらなるエスカレーションを示唆している。和平交渉の道筋は依然として見えず、双方の不信感が根強く残る中、国際情勢は予断を許さない状況が続いている。

参考資料

  • Reuters (2024年9月5日). ロシアのプーチン大統領、ウクライナへの西側部隊派遣は「正当な攻撃標的」と警告.