ロシア、ウクライナへの外国軍部隊による安全保障を拒否 – 和平交渉進展に課題

ロシア政府は5日、ウクライナに対する外国軍部隊による安全保障の提供は「絶対に不可能」であるとの見解を示し、これを「我が国が受け入れ可能なウクライナの安全保障とはなり得ない」と明確に否定しました。この発言は、ウクライナ支援国が部隊派遣の可能性に言及する中で行われ、ウクライナ紛争の解決に向けた今後の和平交渉の複雑さを浮き彫りにしています。モスクワは、高官レベルやトップレベルでの会談実現には、依然として「膨大な量の作業」が必要であると強調しています。

ロシア、ウクライナへの外国軍派遣案を一蹴

ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、ウラジオストクで開催された東方経済フォーラムの合間、国営ロシア通信(RIA)に対し、ウクライナの安全保障を「外国、特に欧州や米国の軍隊が提供できるのか」という問いに対し、「絶対にできない」と断言しました。この発言は、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と欧州首脳らが4日にパリで開催したウクライナ支援の有志国連合会合を受けてのものです。同会合では、ロシアとの和平合意が成立した場合、26カ国がウクライナに対する安全保障の一環として部隊を派遣する用意があるとの表明がありました。ロシア側は、こうした外部からの軍事介入が安全保障の解決策にはなり得ないとの強硬な姿勢を示しています。

ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官、ウクライナへの外国軍部隊による安全保障を拒否する見解を示すロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官、ウクライナへの外国軍部隊による安全保障を拒否する見解を示す

2022年イスタンブール合意の再確認

ペスコフ報道官はまた、ウクライナにとって必要な安全保障の枠組みは、2022年にトルコのイスタンブールで行われた和平交渉で合意された条項に全て含まれていると述べました。このイスタンブールの枠組みでは、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)加盟への野望を放棄し、中立・非核の地位を採用する見返りに、米国、ロシア、中国、英国、フランスといった主要国から安全保障の保証を受けることになっていました。ロシアは、この過去の合意が現在の和平プロセスの基礎となるべきであるとの立場を堅持しています。

高官級会談への道のり:具体的な課題の解決を優先

ロシアとウクライナ間の協議の現状について、ペスコフ氏は現在の代表者レベルでの作業に満足しているとしながらも、高官レベルあるいはトップレベルでの会談を開催する前には、より「小さな問題、小さな技術的問題」を解決するための「膨大な量の作業」が必要であると指摘しました。これらの技術的な課題の解決こそが、和解プロセス全体を構成する重要な要素であると強調し、本格的な対話の前に、地道な準備作業の重要性を改めて示唆しました。

結論

ロシア政府の強硬な立場は、ウクライナ紛争における安全保障の問題が依然として和平への大きな障害であることを明確に示しています。外国軍部隊による安全保障を断固として拒否し、2022年のイスタンブール合意の履行を求めるロシアの要求は、ウクライナ支援国による部隊派遣の意向と真っ向から対立しています。高官レベルでの直接対話の実現には、ロシアが言及する「技術的問題」の解決という、複雑で時間のかかるプロセスが待っており、和平への道のりは依然として不透明な状況が続くものと見られます。

参考文献

  • ロイター通信 (2025年9月5日). ロシア大統領、ウクライナへの外国軍部隊による安全保証を拒否.