ゼレンスキー大統領、モスクワ会談を拒否 「テロ国家の首都には行けない」とプーチン氏の提案を却下

ロシアによる侵略が続くウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領からの「首脳会談を望むならモスクワに来るべきだ」という提案に対し、「テロリストの国の首都に行くことはできない」と明確に拒否しました。この発言は、米ABCニュースが6日に公開したインタビューで初めて言及されたものです。ゼレンスキー大統領のこの姿勢は、停滞する露ウ間の平和交渉における新たな局面を示すものとして注目されています。

ウクライナ大統領の「テロ国家」発言とキーウへの招待

ゼレンスキー大統領はインタビューの中で、プーチン氏の提案を強く非難しました。「彼(プーチン氏)は(ウクライナの首都)キーウに来ることができる。私は国が(露軍の)ミサイルや攻撃にさらされている間はモスクワには行けない」と述べ、自身の立場を主張しました。これは、ロシアを「テロリストの国」と呼び、ウクライナが被っている甚大な被害を強調するものです。この発言は、ウクライナが国家主権と安全保障を最優先する姿勢を国際社会に改めて示すとともに、ロシアによる侵略の事実を強く訴えるメッセージとなっています。

ロシアの侵略を受けるウクライナの国旗が翻る様子。ゼレンスキー大統領がモスクワでの首脳会談を拒否した背景にある、ウクライナの厳しい状況を象徴しています。ロシアの侵略を受けるウクライナの国旗が翻る様子。ゼレンスキー大統領がモスクワでの首脳会談を拒否した背景にある、ウクライナの厳しい状況を象徴しています。

プーチン氏の提案の真意とゼレンスキー氏の見方

ゼレンスキー大統領はまた、プーチン氏がモスクワでの首脳会談を提案したことについて、「プーチン氏もこのことを分かっている」と指摘し、プーチン氏が首脳会談を避けるために「非現実的な提案」をしているとの見方を示しました。これに先立ち、プーチン大統領は3日と5日にも、ゼレンスキー大統領が求める首脳会談に関して、モスクワに来るのであれば応じると発言していました。同時にプーチン氏は、ウクライナが譲歩の用意がない現状では首脳会談を行っても意味が乏しいとの考えも表明しており、両国のトップレベルでの対話に向けた条件設定には、依然として大きな隔たりがあることが浮き彫りになっています。

結論

ゼレンスキー大統領によるモスクワでの首脳会談拒否は、ロシアとウクライナの間の対話が依然として困難な状況にあることを明確に示しています。ウクライナ側は、自国が侵略を受けている状況下での「テロ国家」の首都への訪問を断固として拒否し、ロシア側の姿勢を厳しく批判。一方、ロシア側はウクライナの「譲歩」を条件としており、具体的な平和交渉に向けた道筋は依然として見えていません。国際社会は、この緊迫した状況の進展を注視し続けています。

参考文献