トランプ氏、「戦争省」発言でシカゴ移民取り締まり示唆 – イリノイ州知事は「異常」と批判

トランプ前米大統領がSNSでシカゴに言及し、「戦争省」発言で移民取り締まりを示唆した。これにシカゴ当局は警戒、イリノイ州知事は「異常」と強く批判し、連邦と地方の緊張が高まる。

トランプ氏のSNS投稿と「戦争省」発言

トランプ氏は6日、「私は朝の強制送還のにおいが大好きだ。なぜそれが戦争省と呼ばれるのか、シカゴは理由を知ることになるだろう」とSNSに投稿。これは、彼が前日に国防総省を「戦争省」に改称する大統領令に署名した直後のことだ。投稿には人工知能で生成されたとみられる帽子とサングラス姿のトランプ氏の画像が添付され、背景にはシカゴの高層ビル群が描かれている。さらに、映画『地獄の黙示録』の原題「アポカリプス・ナウ」を捩った「シポカリプス・ナウ」という文言も添えられた。

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イリノイ州知事による批判

トランプ氏の投稿に対し、イリノイ州のJ.B.プリツカー知事(民主党)は同日、「異常」だと厳しく批判した。プリツカー知事は自身のX(旧ツイッター)で、「米国大統領が米国の都市に対し戦争を仕掛けると脅している。これは冗談ではない。異常だ」と投稿。「ドナルド・トランプは強者ではなく、おびえている。独裁者気取りにイリノイ州はおじけづくことはない」と、州として屈しない姿勢を強調した。

シカゴでの移民取り締まりと法的論争

トランプ氏はこのところ、米国第3の人口を抱えるシカゴへの言動をエスカレートさせていた。CNNは以前、トランプ政権がシカゴで大規模な移民取り締まり作戦を実施する計画を報じており、現地当局は早ければ5日にも開始される可能性に備えていた。ホワイトハウス関係者によると、米税関・国境警備局(CBP)などの人員が数日前からシカゴに入り始めているという。政権は、作戦への反応次第で州兵を派遣する権利も留保する構えだ。今回のシカゴでの作戦のモデルとされているのは、6月にロサンゼルスで実施された同様の作戦だ。しかし、このロサンゼルスでの州兵派遣については、裁判所が今週、軍が米国内で法執行活動を行うことを禁じる連邦法に違反するとの判断を示しており、政権はこれに対して上訴中である。

トランプ氏のシカゴへの強硬な発言とそれに続く移民取り締まり計画は、連邦政府と地方政府間の対立を鮮明にしている。国防総省の「戦争省」への改称や州兵派遣を巡る法的争いは、米国内の政治情勢が複雑化している現状を示すものであり、今後の展開が注目される。

出典: Yahoo!ニュース