ロシア、ウクライナ全土に開戦以来最大規模の攻撃:キーウ政府庁舎被弾、死者も発生

【AFP=時事】ロシア軍は7日早朝、ウクライナに対して侵攻開始以降で最大規模となる大規模な攻撃を仕掛けました。ウクライナ当局の発表によると、首都キーウでは少なくとも2名が死亡し、政府庁舎が損傷するなどの甚大な被害が出ています。この攻撃は、ウクライナ全土にわたる防空警報が発令される中で行われ、国際社会に新たな緊張をもたらしています。

キーウ中心部への攻撃と甚大な被害

首都キーウでは、AFPの記者が内閣が入る政府庁舎の屋根が炎上し、首都上空に煙が立ち上る様子を確認しました。緊急当局によると、無人機攻撃により複数の高層ビルも損傷したとのことです。特に深刻だったのはキーウ西部で、9階建ての集合住宅が攻撃され、母親と生後2か月の息子が死亡、十数人の負傷者が出ています。警察は、この無差別攻撃を詳細に調査しています。首都中心部の政府複合施設が攻撃されるのは、2022年2月の侵攻開始以来初めての事態であり、ロシアの攻撃がさらにエスカレートしていることを示唆しています。

ユリヤ・スビリデンコ首相は、自身のテレグラムチャンネルで「敵の攻撃により、政府庁舎の屋根と上層階が損傷した。現在、救助隊が懸命な消火作業を行っている」と状況を報告しました。この一報は、ウクライナ国民に大きな衝撃を与えています。

ウクライナ首都キーウ、ロシア軍攻撃で炎上する政府庁舎の消火活動ウクライナ首都キーウ、ロシア軍攻撃で炎上する政府庁舎の消火活動

攻撃の規模と国際社会の反応

ウクライナ空軍は、ロシアが6日夜から7日早朝にかけて、少なくとも805機の無人機と13発のミサイルを発射したと発表しました。これは、開戦以降で最も大規模な空爆であり、ウクライナ各地で緊急サービスが対応に追われる事態となりました。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領はSNSへの投稿で、この攻撃を「本来なら本格的な外交交渉が行われるべき時期に、こうした殺戮が行われるのは意図的な犯罪であり、戦争を長引かせる行為だ」と強く非難しました。

ロシアは3年半にわたるウクライナ侵攻を停止する兆しを見せておらず、米国が仲介する和平交渉の努力にもかかわらず、依然として強硬な要求を押し通す姿勢を崩していません。今回の攻撃は、ウクライナ戦争の終結が見えない現状を改めて浮き彫りにしました。

他地域における被害

南部ザポリージャ地域でも、ロシア軍による誘導爆弾攻撃が発生し、夫婦が死亡する悲劇が伝えられました。同地域のイワン・フェドロフ軍政長官がこの被害を明らかにしました。キーウ以外の地域でも市民への攻撃が続き、ウクライナ全体が依然として危険な状況にあります。

結論

今回のロシアによるウクライナ全土への大規模攻撃は、開戦以来最大規模となるもので、特に首都キーウでは政府庁舎が被弾し、民間人の死者も発生するという深刻な結果をもたらしました。これは、ロシアが戦争を長期化させ、ウクライナへの圧力を強める意図の表れであり、停戦に向けた道のりが依然として険しいことを示しています。国際社会は、この新たな事態に対して、引き続き注視と対応が求められています。

参照元

  • AFPBB News/時事