TBS系ドラマ『初恋DOGs』は、9月2日に最終回となる第10話が放送され、その視聴率は4.4%(ビデオリサーチ調べ、世帯平均、関東地区)を記録しました。番組の平均視聴率も4.6%に留まり、第1話の5.8%から第3話までは5%台を維持したものの、第4話以降はすべて4%台と低迷が続きました。これにより、『初恋DOGs』は、数々のヒット作を生み出してきたTBSの火曜夜10時枠「火10」において、初めて平均視聴率が5%を割る作品となりました。
清原果耶主演ドラマ「初恋DOGs」の放送風景。TBS火10枠の視聴率低迷が課題に。
輝かしい歴史を持つTBS「火10」枠の過去作
TBSの「火10」枠は、これまで社会現象を巻き起こした数多くのドラマを世に送り出してきました。新垣結衣主演の『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年)や綾瀬はるか主演の『義母と娘のブルース』(2018年)、多部未華子主演の『私の家政夫ナギサさん』(2020年)などが代表例です。近年では、2024年放送の『西園寺さんは家事をしない』もSNSで「西園寺さんロス」の声が広がるなど、大きな話題を呼びました。
この「火10」枠は、TBSにとって『日曜劇場』と並ぶ重要なドラマ枠と位置付けられています。これまでの最低平均視聴率は『マイ・セカンド・アオハル』(2023年10月期)の5.1%でしたが、『初恋DOGs』はそれを大きく下回る結果となりました。芸能記者によると、「『火10』は高視聴率の『マツコの知らない世界』から、CMを挟まずドラマが始まるという手法がとられているのですが、それでこの数字なのですから、大爆死と言っていいでしょう」と、その深刻さを指摘しています。
韓国との共同制作、必勝態勢が一転「大爆死」に
『初恋DOGs』は、TBSが2024年に韓国のCJ ENMと締結したドラマなどの共同制作協定における初の作品でした。『愛の不時着』などを制作したスタジオドラゴンとTBSの共同制作という鳴り物入りで、日本でも大ヒットした韓国ドラマ『私の夫と結婚して』で注目を集めたナ・イヌがキャスティングされるなど、まさに必勝態勢で臨んだはずでした。しかし、その期待とは裏腹に、厳しい結果に終わりました。
視聴者からの厳しい声と専門家の分析
ソーシャルメディアX(旧Twitter)には、本作に対する視聴者からの辛辣な意見が多数寄せられています。「初恋DOGsつまらない。キャストが暗いし、スートリーもつまらない、何もかもつまらない…」「初恋DOGsあまりにもストーリーが面白くなさすぎる。今からでもテコ入れして欲しい。スタジオドラゴンってこうなの…?清原果耶と成田凌とナイヌを揃えてなぜこうなった…」「ナイヌが折角この酷暑のなか日本に長期滞在し他言語でめちゃくちゃ頑張ってくれているのに、こんなつまらないドラマ出させられて本当に可哀相、、、」といった声が並び、ヒロインの清原果耶や成田凌、ナ・イヌという実力派キャスト陣の問題ではなく、ストーリーそのものの魅力の欠如が指摘されています。
テレビウォッチャーは、低迷の要因を多角的に分析しています。「原案は韓国の漫画なのですが、舞台を日本に移したことで設定がうまくいかなかったのかもしれません」と、文化的な背景の違いによる違和感を指摘。さらに、「ラブストーリーなのか友情の話なのか、動物をかわいく見せたいのか、なんでもありで中途半端なままで話が進んでいった印象があります」と、テーマの焦点が定まらなかったことを挙げました。深田恭子や野呂佳代といった存在感のあるキャストを起用しながら、「うまく使い切れなかった点も残念です」と、豪華な俳優陣を活かしきれなかったことも課題としています。
「火10」枠、今後の巻き返しは?
『初恋DOGs』の低視聴率は、単なる一作品の失敗にとどまらず、TBS「火10」枠の歴史における転換点となる可能性も示唆しています。視聴者の嗜好や作品制作の方向性について、TBSは改めて深く考える必要に迫られているでしょう。
この秋、TBS「火10」の10月期では、夏帆と竹内涼真が主演を務める『じゃあ、あんたが作ってみろよ』が放送予定です。かつての輝きを取り戻し、この重要枠の巻き返しを図ることができるのか、今後の動向が注目されます。