経済産業省は17日、有識者による作業部会で、今年9月の台風15号の強風によって、千葉県などで鉄塔や電柱が倒壊したことに対する強度基準のあり方で中間報告を取りまとめた。電柱については、連鎖的な倒壊を防ぐための技術基準を規定するほか、風が強く吹く地形の送電鉄塔は、強度基準を引き上げる。
台風15号では、千葉県君津市で送電用の大型鉄塔2基が倒れたほか、約2千本の電柱が損壊し、大規模な停電が長期化。気候変動によって大型台風の懸念が高まる中で、強度の基準を作業部会で議論していた。
電柱では直接的な風の影響よりも、吹き飛ばされた看板や建物の一部、倒れた木がぶつかるなどして倒壊するケースがほとんどのため、強度基準自体は変更せず、飛来物対策を重視する。ただ、15号による電柱倒壊で約1割の電柱が連続して倒れたことから、連鎖倒壊防止を求める。台風の接近が多い九州電力などで採用されている数本に1本の割合で強度を引き上げた電柱を設置し、連鎖的に倒れることを抑制させる。
鉄塔は、風速40メートル(10分間平均)に耐えるとする現在の基準は維持するが、標高差が大きい地点など、局地的に風が強く吹く地形などの鉄塔は基準を上げる。強度引き上げは建て替えだけでなく、柱材取り換えや基礎部改良などによる補強での対応も可能とする。
経産省では今後、パブリックコメント(意見公募)を経て、早期に省令を改正し、来年の台風シーズンに備える。