中国の「大国外交」に不可欠なロシア 三船恵美・駒沢大教授(現代中国外交)


今回の中露首脳会談には、米国への抵抗における結束の強化や「戦勝80周年」の歴史的節目の政治利用、未着手の天然ガスパイプライン「シベリアの力2」での協議といった狙いがある。

ただし、中露は一枚岩ではない。中国は凋落(ちょうらく)したロシアを格下とみている。中国としては、米国を軸とする西側中心の国際秩序に抵抗する勢力のために組むべき相手として手を取り合っているのが本音だろう。

中国はトランプ米政権の発足以降、自らを「多国間主義の擁護者」と喧伝(けんでん)している。自国の安全は他国の安全なしでは成り立たないという「安全保障の不可分性」の堅持を繰り返し主張し、西側による「他国への内政干渉」などを「カラー革命」と批判してきた。

特に重視しているのが国連、上海協力機構、BRICSなどを通じたグローバルサウス外交での連携強化だ。中国は非西側の支持を固めながら世界の中軸に中国が立つ大国外交を推し進め、米国に認めさせたい。これらは影響力を持つロシアなしでは成り立たない。

トランプ米政権下で対米不信が深まる中、中露関係は〝深化〟が進むだろう。(聞き手 桑村朋)



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