この連載では、一般的な「住みたい街ランキング」には登場しないけれど、住み心地は抜群と思われる街をターゲットに定め、実際に歩き、住む人の声と、各種データを集めてリポート。定番の「住みたい街」にはない「住むと、ちょっといい街」の魅力を掘り起こしていく。
チェーン店ばかりではなく、地元にしっかり根を張った個人店が多い街は、うろつくだけで心が浮き立つ。新宿駅から16〜22分程度、祖師ヶ谷大蔵を歩いていて思ったのは、場所柄もあって昼と夜の賑わいがちょうどいいことだ。
■発車メロディが告げる「特撮の聖地」の始まり
駅の発車メロディは「きぃーたぞ われらぁーのウルゥトラマァン」の部分だ。一定年齢以上の人なら誰でも口ずさめるだろう。ここは祖師ヶ谷大蔵。「ウルトラマン」や「ゴジラ」など、今も愛されるメガヒットコンテンツを生み出した円谷プロダクションが、かつて本部を置いた街だ。
小田急線の「祖師ヶ谷大蔵駅(東京都世田谷区祖師谷1-7-1)」から南北に延びる商店街には「ウルトラマン商店街」の名がついている。今年は命名から20周年だ。
祖師ヶ谷大蔵駅の南側の地名は「世田谷区砧」だ。商店街を南方向に少し歩くと、砧7丁目にたどり着く。特撮の神様・円谷英二は1963年に、ここで「円谷プロダクション」を誕生させた。界隈の商店街には撮影所の関係者が多く訪れた。
2005年、世田谷区の職員による「世田谷売り込み隊」が音頭を取るかっこうで、円谷プロダクションをはじめ地元の複数の団体と、この地域にある「祖師谷昇進会商店街」「祖師谷商店街」「祖師谷みなみ商店街」が連携し、「ウルトラマン商店街」が誕生した。
北口駅前の広場にはウルトラマンシンボル像がいかにもヒーロー然としたポーズで立っている。このウルトラマンは、1時ちょうど、2時ちょうどなどの正時になると目とカラータイマーがきっちり3分間光る。これがまたかっこいい。
そういえば、ウルトラマンが地球で活躍できるのは3分間だけだ。「だからウルトラマンはカップラーメンを食えんのやぞ」という子ども時代の他愛ない会話を思い出しながら、商店街をぶらついた。
■昔ながらの地域密着の個人店も多い






