現在、日本のインターネット上で「皇位継承」に関する議論が活発化しており、特に天皇の長女である敬宮愛子さまの存在に大きな注目が集まっています。国民の間でどのような声が上がり、その背景には一体何があるのでしょうか。
女性皇族が皇位を継ぐことを可能にする皇室典範の改正を求めるオンライン署名が、急速に拡大しています。この署名は「愛子さまを天皇（令和の皇太子）に！！」というスローガンを掲げ、2025年12月11日時点で4万9000人を超える賛同者を集めました。2024年には秋篠宮家の悠仁さまの東京大学進学に反対する署名が1万人以上を集めましたが、今回の愛子さまへの署名はその5倍近くに達しています。
「ゴヨウツツジの会」と署名の背景
このオンライン署名を立ち上げたのは「ゴヨウツツジの会」という団体です。同会は2017年に設立され、当時皇太子ご夫妻にいらした敬宮愛子さまが、女性であるという理由だけで皇位を継承できない現状に疑問を感じた女性たちがインターネット上で出会い、活動を開始しました。ゴヨウツツジは愛子さまの「お印」であり、当初は女性天皇を求める意見広告を新聞に掲載するためのクラウドファンディングを目的として結成されたと言います。
オンライン署名が開始されたのは、平成から令和への御代替わりが行われた2019年です。「愛子さまに立太子していただきたいという思いを持つ方々に呼びかけ、その思いを世に問いたいとオンライン署名を始めました」と同会は語っています。2025年夏時点では9000人台だった署名数は、同年12月1日の愛子さまのお誕生日を機に、X（旧Twitter）での拡散を通じて一気に5万人に迫る勢いとなりました。
皇位継承を求める愛子さまへのオンライン署名サイトの様子
国民の声と皇位継承議論の現状
「ゴヨウツツジの会」の5人の女性が中心となって「愛子さまを天皇に」と訴える背景には、皇位継承を男系男子に限定する皇室典範の改正に関する議論が一向に進まないことへの懸念があります。同会は「国民の8割以上は女性天皇に賛成しており、その国民の思いを訴えていく一つの方法として署名活動をしています」と主張しています。
確かに、2005年には小泉政権下の有識者会議の報告書で「女性・女系天皇の容認」が盛り込まれましたが、翌2006年の悠仁さまのご誕生により、この議論は事実上立ち消えとなりました。現在、麻生太郎・最高顧問が会長を務める自民党の「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」では、「皇族数確保」が主要テーマとなっており、女性天皇の是非は議論の俎上に載せられていないのが現状です。
愛子さまの人気と世論の変化
こうした状況下で、立ち上げから6年が経過した署名活動が今年に入って急激な支持を集めていることについて、皇室ジャーナリストの神田秀一氏は次のように分析しています。「悠仁さまが成年皇族となられたものの、皇族数の減少は変わりません。皇室の将来を心配する声の高まりが署名運動となり、皇位継承者が先細る現状に対し、女性も皇位を継げるようにすべきとの考えが増えるのは不思議ではありません。」
近年における愛子さまの人気ぶりも、署名活動の盛り上がりに大きく寄与していると考えられます。2025年11月のラオス訪問では、連日の歓迎ぶりが報道され、現地での写真が投稿された宮内庁公式インスタグラムには、合計170万件以上の「いいね」が寄せられました。ある皇室記者は、「愛子さまを通じて、特に若い世代の皇室への関心が高まっています。他の皇族方が歩まれた海外留学をせず、日本赤十字社に勤めながら様々な公務に向き合う愛子さまの姿に、共感や尊敬の念が集まっているのではないでしょうか」と述べています。国民の間に広がる愛子さまへの期待と、皇位継承の安定化を求める声が、今回のオンライン署名の急拡大を牽引していると言えるでしょう。
