「やる気が出ない」「体がだるい」それは「自律神経の乱れ」が原因かもしれない:整えるための生活習慣

「朝、ベッドからなかなか起き上がれない」「やるべきことは分かっているのに、どうも体が動かない」。このような経験は誰にでもあるかもしれません。しかし、これらは単に「やる気のなさ」や「メンタルの弱さ」だけが原因ではないかもしれません。東洋経済新報社から出版された久手堅司氏の著書『自律神経 これ1冊ですべて整える』によると、その背景には「自律神経の乱れ」が潜んでいる可能性があると指摘されています。

自律神経とは? ホメオスタシスと身体の恒常性

私たちの身体には、外部環境の変化にかかわらず、体内の環境を一定に保とうとする性質が備わっています。これは「ホメオスタシス(恒常性)」と呼ばれ、この恒常性を維持するための重要なシステムが自律神経です。例えば、体温を例にとってみましょう。外気温がどれほど変動しても、私たちの平熱は約36〜37℃に保たれています。これは、食べ物の消化吸収や肌の新陳代謝など、体内で起こるさまざまな化学反応を促進する「酵素」が最も効率良く働く環境を維持するためです。この体温の微調整を司っているのが、まさに自律神経なのです。

自律神経は、私たちが意識することなく、生命維持のために24時間365日働き続けている神経です。体温調節の他にも、呼吸、血圧、脈拍、消化管の動きなど、全身のさまざまな機能をコントロールしています。

自律神経の乱れが引き起こす多種多様な不調

自律神経が常に微調整を行っているのは、全身のコンディションを良好に保つためです。したがって、この自律神経のバランスが乱れると、身体のいたるところで調和が崩れ、多岐にわたる不調を引き起こします。

その不調は、不眠、動悸、頭痛、めまいなど、実に多様です。では、このような自律神経の乱れを整え、健康な状態を取り戻すためには、まず何から始めるべきでしょうか。最も重要なポイントは、「人間らしいリズム」を刻んで生活することです。著者は、「自律神経は基本的に規則正しい生活を好みます。まずは生活習慣を整えることから始めましょう」と述べています。朝起きて水分を摂り、食事をし、日中は活動的に過ごし、夜はゆっくり休んで眠る。ごく当たり前のように思えるこれらの習慣ですが、現代社会では実践できていない人が少なくありません。生活リズムの乱れこそが、自律神経に過度な負担をかけ、不調の原因となっているのです。

自律神経の乱れは、不眠、動悸、頭痛、めまいなど多様な身体の不調を引き起こす可能性がある自律神経の乱れは、不眠、動悸、頭痛、めまいなど多様な身体の不調を引き起こす可能性がある

まとめ:自律神経を整え、心身の健康を取り戻すために

日常の些細な不調が、実は自律神経の乱れから来ている可能性を理解することは、自身の健康を見つめ直す第一歩となります。この大切なシステムを整えるためには、特別なことではなく、「規則正しい生活習慣」という基本的なリズムを取り戻すことが最も効果的です。日々の生活を見直し、心身の健康を維持していきましょう。


参考文献:

  • 久手堅司 著, 『自律神経 これ1冊ですべて整える』, 東洋経済新報社.
  • Yahoo!ニュース (東洋経済オンライン): 「やる気が出ない」「体がだるい」それは「自律神経の乱れ」が原因かもしれない, 2025年12月17日.