全てが予想どおりの展開で、思わず笑ってしまった。
なんのことかというと、与党である自民党と日本維新の会による国会議員の定数削減法案と与野党が出した3本の企業・団体献金の規制強化に関する法案のいずれもが12月17日に閉会となった臨時国会で成立せず、来年の通常国会に持ち越されたが、いずれも成立のめどが全く立っていないということだ。こうなることは、自民と維新の連立が成立した時から決まっていた。
【写真】高い支持率を背景に自分の「成果」を強調する高市早苗首相
さらに、この先どうなるかもほぼわかっている。
維新がどうして自民と連立しなければならないのか、自民がどうして維新の無理な要求をのむのか、そして、定数削減と政治資金規制強化を維新がどのように党利党略のために利用して国民を騙そうとするのかについては、10月21日配信の本コラム「維新と連立を組んだ『高市早苗内閣』は戦後最悪の政権になる 日本を没落させた『安倍政治の復活』という悪夢」で詳しく解説・予測した。今のところ、そのシナリオどおりに動いている。
維新は党勢が大きく落ち込み消滅の危機にあるが、起死回生の一打を自ら放つエネルギーはもはやない。そこで、自民と連立を組んで、「改革の維新」をアピールするとともに、党設立時からの公約の一丁目一番地「大阪都構想」復活のために編み出した「副首都構想」実現の道筋をつけようと考えた。
しかし、そこに一つ大きな障害があった。維新が声高に叫んでいた「企業・団体献金禁止」の公約だ。高市氏としては、自民にとっての死刑宣告となるこの公約だけはのめない(その理由は、12月9日配信の本コラム「高市首相が『そんなこと』でごまかそうとした企業・団体献金は“贈収賄政治”の温床だ 政治献金できない庶民が見捨てられる日」で詳しく解説した)。
一方の維新は、自民と連立を組むために改革の旗を下ろすのかと批判されるので、簡単に引っ込めるわけにはいかない。
そこで出てきた“妙手”が、国会議員の「定数1割削減」だ。維新の吉村洋文代表がこれを改革のセンターピンだと突然宣言したことで、マスコミは大々的に取り上げた。定数削減と聞くと「現職議員が議席を失う」という連想が働く。「身を切る改革」として非常にわかりやすい。しかも、維新は会期が2カ月弱の臨時国会で法案を成立させろと要求した。過激な要求に世論は喜び、簡単に騙されて、「定数削減しろ!」という流れができた。
これによって、本丸のはずの企業・団体献金規制の影は一気に薄れてしまった。






