【主張】イラン大統領来日 「仲介役」が日本の国益だ

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 来日したイランのロウハニ大統領に、安倍晋三首相が会談で「中東地域の緊張緩和のためにできる限りの役割を果たしていく」と表明した。

 イラン核合意は、米国の離脱後、イランが履行義務を段階的に停止し、崩壊の瀬戸際にある。欧州当事国もイランへの態度を硬化させている。

 敵対する米・イランを仲介して対話を促し、イランを平和国家として国際社会に組み込む。その役割を担えるのは日本しかない。

 ロウハニ師来日も孤立回避に向け、日本を頼みとしたのだろう。米・イラン仲介の前提として、イランとの信頼関係を確認したのはよかった。

 首脳会談は、日本船舶の安全確保に向け、海上自衛隊を中東に派遣する計画について直接、イラン側に伝える機会ともなった。

 首相はイランの核合意の履行義務停止に「深刻な懸念」を伝え、自制を求めた。ロウハニ師も合意維持の重要性に言及した。

 米国の制裁復活を受け、イランは60日ごとに段階的に履行義務を停止するとして、5月以降4度にわたり、ウラン濃縮度の上限超えなどの措置に踏み切った。

 合意維持を主張しながら、自ら合意を揺るがす行為に出て、それを駆け引きに使うのはおかしい。核危機をあおる手法は認められない。緊張緩和への第一歩は、イランによる核合意の順守であるはずだ。来年1月には5度目の履行義務停止が予定される。見送りへ働きかけを強めるべきだ。

 9月のサウジアラビアの石油施設攻撃を巡っては欧州もイランの関与を指摘した。米国は反政府デモの「弾圧」を問題視している。テロ支援や弾道ミサイルを含め、多くの疑念がイランに向けられていることも説かねばならない。

 ロウハニ師の対外融和路線が行き詰まれば、国内で保守強硬派の台頭を許すことになる。イランの孤立が深まれば、中露に接近し、権威主義で足並みをそろえる恐れもある。仲介の成否は重大だ。

 米・イランの敵対関係は40年に及び、関係の改善は容易に望めない。だが日米関係は強固であり、欧州の当事国をはじめ、世界が日本のイラン外交を注視している。日本が中東で存在感を示すチャンスととらえたい。

 日本は原油の多くを中東に依存している。中東の安定そのものが日本の国益との認識が必要だ。

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