【香港=藤本欣也】半年以上にわたり反政府デモが続く香港で、警察当局によるデモ隊の摘発が加速している。殺傷能力の高い半自動小銃のAR15が押収されたほか、抗議活動を支援する寄付金9億円相当が凍結され、デモを支持する市民らが反発している。
香港警察の発表によると、新界地区で20日、警官に向けて短銃を発砲した男(18)を逮捕。近くの住居を捜索したところ、1丁のAR15と銃弾約200発を発見、押収した。警官にけがはなかった。
男は、抗議活動の前線で警官隊としばしば衝突する勇武(武闘)派と呼ばれる一派のメンバーとされる。2017年に米ラスベガスで58人が死亡した銃乱射事件の際、使用されたのがAR15だった。香港では12月に入り、手製爆弾なども警察に押収されている。
香港メディアによると、警察当局はAR15について、爆弾同様、警官を標的に使用するのが目的だったとの見方を強めている。台湾から持ち込まれた可能性があるという。
また、警察は19日、抗議活動を支援する非営利組織「星火同盟」のメンバー4人をマネーロンダリング(資金洗浄)に関与した疑いで逮捕、寄付金として集められた7千万香港ドル(約9億8000万円)を凍結したと発表した。星火同盟はネットのクラウドファンディングで資金を調達していたが、警察は、4人がその資金を流用し保険商品などに投資していたとしている。
星火同盟は「警察のでっち上げだ」と反発。市民らによる警察への抗議活動が続いている。