【主張】日中首脳会談 「国賓」推進の状況でない

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 安倍晋三首相が訪問先の中国で習近平国家主席と会談し、来年4月で調整中の習氏の国賓来日の準備を進めることで一致した。

 首相は国賓来日を「極めて重視している」と語った。だが、本当に推進していいのか。極めて疑問である。

 中国の深刻な人権状況や日中間に横たわる懸案などは解決されていない。今回の首相訪中で、習氏を国賓として歓迎するにふさわしい環境が整ったとは到底言えない。

 首相は「日中新時代にふさわしい関係を築き上げていくために協力して(国賓来日の)準備を進めたい」と語った。習氏は日中関係について「小異を残して一致点を求め、積極的に協力」すべきだとの考えを示した。

 だが、中国が抱える問題は「小異」として棚上げできない。

 会談で首相は、尖閣諸島周辺での中国公船の挑発活動の自制や、中国が拘束している邦人の早期帰国を求めた。香港情勢について「大変憂慮している」と伝え、新疆ウイグル自治区の人権状況について透明性ある説明を促した。

 これらの要求は評価できる。だが、習氏は改善するそぶりを示さなかった。香港、ウイグルは「内政問題だ」と切り返した。

 24日の日中韓サミットでは、中国当局は産経新聞北京特派員2人の記者証発行を拒んだ。言論の自由という基本的価値を認めない本性を改めて露(あら)わにしたものだ。

 このような中国との間で、「アジアや世界の平和と安定、繁栄に責任を共有」していくと謳(うた)われても戸惑うばかりである。責任を共有する以前の段階ではないか。

 今回の訪中で首相は、習氏らに言うべきことを言い尽くしたようには思われない。

 まず、首相自身が伝えた懸念に改善が見られなければ、国賓招致は難しくなるとはっきり伝えたほうがよかった。

 人権以外でも国際社会が懸念する問題があるが、首相がほとんど触れなかったことも解せない。米中対立について論じ合わなかったのだろうか。その行方は日本の命運がかかっているはずだ。

 中国が国際法を無視して軍事化を進める南シナ海の問題は、李克強首相との会談でわずかに触れたが、最高指導者の習氏にこそ改善を求めるべきだった。大規模な軍拡の自制も同様である。

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