NHKは26日、朝のニュース番組「おはよう日本」が今月9日に放送した番組内の企画コーナーで、ホテルの利用客として紹介した男性が、実際はホテルと取引のあるメーカーの社員で、実際の利用客ではなかったと発表した。同番組内で同日、謝罪した。
同番組では9日、企画コーナー「おはBiz」で、ビジネスホテルとカプセルホテルの中間業態ともいわれる「キャビン型ホテル」を特集。その中でランニングなどに使うシューズなどの貸し出しサービス付きのホテルを紹介した。
利用客として実名、顔も出して登場した男性は、スポーツ用品大手ミズノの社員だった。男性は番組内で「仕事や飲み会で遅くなるとき、タクシーで帰るより安上がりと時々利用する。宿泊ついでのランニングを楽しみにしている」などとコメントしていた。しかし、実際にはホテルの利用実績はなかったという。
コーナーを担当する外部ディレクターは、宿泊施設に対し、利用者の紹介を要請。宿泊施設はメーカーの担当社員に、メーカー社員以外の人を紹介してほしいと依頼したが、社員は後輩の社員を紹介。この際、メーカー社員であることを隠すよう伝えていた。番組側は複数回にわたって勤務先を尋ねるなどしたが、見抜けなかったという。
NHKでは昨年11月、国際放送「NHKワールド JAPAN」で、家族や友人をレンタルする代行ビジネスを紹介する番組を放送したが、客として出演していた男女3人が実際にはこのレンタルサービス会社が用意したスタッフだったとして謝罪した。
この反省を踏まえ、取材制作の確認の強化を図っており、「おはBiz」のコーナーを担当するチーフプロデューサーやコーナーを制作した外部の担当ディレクターも説明を受けていた。NHKでは、「確認強化のチェックシートの導入を(コーナーでも)検討していた段階で、こういうことが起きてしまった。早急に導入を進めたい」としている。