ANAが周遊型の割引運賃 訪日客に設定へ





全日空(ANA)のロゴマーク

 全日本空輸を傘下に持つANAホールディングス(HD)の片野坂真哉社長は26日までに産経新聞のインタビューに応じ、訪日客向けに全国数カ所の空港を利用できる周遊型の割引運賃を来年設定する考えを明らかにした。片野坂氏は、周遊型のほか複数の訪日客向け割引施策を実施し、政府の掲げる4千万人の訪日客数目標の達成に貢献する考えを強調。目標達成は可能との見通しを示した。

 片野坂氏は、ラグビーワールドカップ(W杯)を観戦した訪日客が全国各地を長期間訪問したことについて「ラグビーで日本の地方の人気が世界中に伝わっている。この流れで来年の東京五輪・パラリンピックで日本に来た人にも各地を訪問していただきたい」とした上で、複数の観光地を訪問してもらうため、「周遊型の割引運賃を考えている」と述べた。

 4千万人の目標達成に向けて、観光庁は「Your Japan(ユアジャパン) 2020」キャンペーンを展開。航空会社などに割引施策の実施を呼び掛けている。これに応じて、全日空は、国際線と国内線を通して予約・購入した訪日客向けに、来年7~8月の期間限定で運賃を値下げするほか、東北の各空港と羽田を発着する路線で7~9月限定で「2020円」に値下げすることを決めた。一方、日本航空も26日、7~9月の間、国内線の往復航空券を無料で提供すると発表した。最大5万人分で、羽田と伊丹(大阪)・関西両空港発着の全路線を対象にした。

 割引施策は4千万人達成の追い風になりそうだが、JTBが20日発表した来年の訪日客数予測は今年見込み比7・9%増の3430万人にとどまる見通し。東京五輪・パラリンピックの観戦客はラグビーW杯ほどではなく、今年激減した韓国人客の回復も限定的とみられることなどから、目標達成は困難とした。

 しかし、片野坂氏は「(目標達成が困難かどうかは)げたを履くまで分からない。しっかりと協力したい」と述べ、目標達成を後押ししていく方針を重ねて強調した。



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