かんぽ生命保険の不正販売問題を受け、金融庁は27日、かんぽ生命と日本郵便に対し新規の保険販売を来年1月1日から3カ月間停止させる業務停止命令を出した。不正販売の背景に組織上の問題があったと判断、抜本的な再発防止策を求めた。処分を受け日本郵政グループは同日、日本郵政の長門正貢社長(71)らトップ3人と、総務事務次官から行政処分案を聞き出していた日本郵政の鈴木康雄上級副社長(69)の辞任を発表した。
日本郵政のグループ会社への業務停止命令は初めて。金融庁は日本郵政に対しても業務改善命令の行政処分を下し、総務省も日本郵便に3カ月間の一部業務停止命令を出した。かんぽ生命は現在、かんぽ商品の販売を自粛中で、来年1月の再開を目指していたが再開は大幅にずれ込む。
金融庁は両社について、顧客に虚偽の説明をして保険料を二重払いさせるなどの保険業法違反が少なくとも67件あったと認定。社内ルール違反も662件あったとし、問題の背景に(1)過度な営業推進体制(2)顧客保護の意識を欠いた組織風土(3)脆弱(ぜいじゃく)な営業管理体制(4)ガバナンス(企業統治)の機能不全-があったと指摘。各社に経営責任の明確化や内部管理体制の改善などを求めた。
処分を受け、日本郵政グループは東京都内で記者会見を開き、長門氏、鈴木氏、かんぽ生命の植平光彦社長(63)、日本郵便の横山邦男社長(63)の来年1月5日付の辞任を発表。他の役員についても来年1月から6カ月間、役員報酬を40~5%減額することも明らかにした。後任の社長には日本郵政が増田寛也元総務相(68)、かんぽ生命は千田哲也副社長(59)、日本郵便は日本郵政の衣川和秀専務執行役(62)がそれぞれ来年1月6日付で就任する。